日刊ニュース

2012.11.20 のニュース

風向きが変わりつつある需給

発表順に前年同期比で在庫影響を除いて、昭和シェル349億円、コスモ190億円、JXエネ356億円、出光116億円、東燃ゼネ67億円の営業利益の各悪化。元売5社の悪化合計額は1078億円になる。9ヵ月分の2社、6ヵ月分の3社と異なる期間ではあるが、内需1・1億㌔㍑で割り返すと、ちょうど㍑1円規模の悪化要因になる。
 悪化要因のすべてが石油製品の粗利縮小ではないが、我々とは比較にならない規模を有するだけに、1円の採算コントロールを誤った場合の累積損もけた違いになる。家電大手の惨たんたる近況と比較すると、軽微な損傷ではあるが、圧倒的な経済優位性を誇るアジア勢と途方もない規模を誇る米国勢の存在を背景とする家電の採算悪化は、立ち直りへの処方箋が極めて難解に映る分、国内石油元売の採算性の向上は、その難易度が低く見える。
 4月以降、内需の最盛期の旧盆時期を含めて、ガソリン在庫は一貫して210万~220万㌔㍑前後という高い水準を維持している。その間、120~90㌦の範囲で原油価格が上下動したから、メーカーとしては、高値原油を原料とした製品を、早めに売ってしまいたいという売り急ぎが起こる。
 きちっとした販路なら、ほぼ安定したオーダーをさばくことが主流となるから、売り急ぐ必要性は薄い。内需不振といっても、我々のガソリンは、液晶テレビのように、減税切れ自家用車のように、途方もない大きなマイナスを記録することなく、せいぜい0~5%のマイナス範囲だ。
 価格見合いでのスポット・オーダーが主流なら、話しは異なる。しかも多い在庫の中で、それを実行するから、収益を毀損する。
 3週連続、累計12万㌔㍑減少したガソリン在庫の近況。平年比で過少で10月入りした灯油も、早いタイミングで3週連続の在庫減少を記録、卸価格を下支えする需給面が到来している。これまでとは異なる国内事情が透けて見えつつある。
 年末年始の書き入れ時を控えて、元売側には収益向上の環境が出現しつつある。1円足りない元売どころではない収益悪化に直面しているSS側は、その流れを組み込むべきであろう。大安売りを継続している場合ではない。わずかな採算割れに直面している多数のSSも、黒字化を実現すべき風が吹き始めている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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