日刊ニュース

2012.11.22 のニュース

エネルギー基本計画 予算は選挙待ち ―新政権発足となれば全面改定―

 衆議院の解散でエネルギー基本計画の見直し、来年度予算、税制改正は、すべて選挙結果待ちとなった。今回の選挙では、政権交代が行なわれる公算が強いため、政策、予算とも白紙に戻し、全面的に改定となる。
 投票日は12月16日となるが、世論調査では民主党が負けて、自民党が勝つとの数字が出ており、政権交代が予想されている。しかし、自民党も過半数を確保するのは難しく、公明党などとの連立となるが、安定過半数を確保できるか、蓋を開けないとわからない。また、民主党、国民の生活が第一などの既蔵政党、太陽の党などの第3極が、それぞれどこまで議席を確保するかが、新政権の発足に大きな影響を与える。さらに連立政権となるため、新政権の発足には混迷が予想される。各党の調整に時間がかかり。年内に組閣が難しいとの見方も出ている。
 新政権が発足すれば、現在審議中のエネルギー基本計画は、白紙となる。仮に自民党が中心の政椛となれば、原発容認の立場から、現在の「原発ゼロ」方針は、完全に撤回される。そのためエネルギー基本計画の審議はやり直しとなるが、再スタートにあたっては、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会のメンバーも入れ替えとなる。予算編成中の
政権交代はこれまでも行なわれているが、政策の審議中に政権が交代することは異例の事態である。
 現政権の「原発ゼロ」に対して、自民党は原発を容認、今後は3年程度かけて議論する立場を示しており、接点は見つからない。原発問題は2030年という長期見通しとなるため、当面のエネルギー政策と切り話して審議することが予想されるが、いずれにしても来年以降となる。
 現在の総合エネ調の審議は、政府のエネルギー・環境会議で定めた「革新的エネルギー・環境戦略」(閣議決定はされず)を受けて、年末までに①グリーン戦略大綱、②電力システム改革、③原子力政策をまとめることになっており、これを平行して審議することになっている。だが、次回の開催は三村委員長が「枝野経済産業大臣と相談して決める」こと
になっているが、選挙戦に入っているため中断となり、再開は難しいとみられている。
 総合エネ調で審議しているエネルギー基本計画の位置付けについては、枝野大臣は「総合エネ調は、大臣の諮問機関であり、意見を聞くが、最終的な政策判断は私か決める。原発問題は、広く意見を聞くことにしているが、当初から委員会でまとめることは困難であるとみている」と苦しい立場を述べている。
 来年度予算、税制改正も、政権交代となれば、新政権の方針を取り入れるため全面組み換えとなる。ただ、通年ベースで執行される予算は、組み換えの対象とならず、そのまま容認される。だが、新政権が打ち出す新政策については、大幅に改定される。自民党は国土強靭化計画を打ち出しており、災害対策を優先した公共事業に予算を計上する。
 税制改正は、予算編成に絡むが、景気回復策や産業育成などに関しての助成措置が期待されている。自民党政権による政策を先取りして株価が上昇。為替も81円/ドルと、解散前の79円に比べると円安に転じている。これらが自民党に追い風となっているようである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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