日刊ニュース

2012.11.26 のニュース

エネルギー白書原発は論点整理まで ―石油は多くの施策実施で評価―

 資源エネルギー庁は、平成23年度エネルギー白書を発表した。この白書は、エネルギー政策基本法に基づき前年度のエネルギーに関する施策の状況を国会に報告るもので、例年では3月末までに記述し、5月~6月に国会に報告している。しかし、昨年は東日本大震災の影響で7月末の記述、報告は10月末に遅れたこともあり、今年も1年経過した7月末までの記述となった。
 今年のエネルギー白書では「福島原発の事故により原子力の安全性について、国民の信頼が大きく損なわれた。また、電力・石油・ガスといったエネルギーの供給に混乱が生じ、我が国のエネルギーシステムが抱える脆弱性が明らかになった」との問題点を指摘、各分野での施策を記述している。
 しかし、7月末頃で締め切っているためエネルギー基本計画の見直しを審議している総合資源エネルギー調套基本問題委員会も7月末の30回(直近では33回を11月14日に開く)の審議までとなり、計画策定に向けた論点整理、選択肢の原案まとめまでとなっている。
 その後は、政府が「原発ゼロを目指す」案を提示したが、海外や産業界からの反発を受けて閣議決定できずに後退した。記述された時期との差によってエネルギー白書では取り上げられておらず、現状どの違いが出ているが、やむを得ない。
 政府は9月14日に「革新的エネルギー・環境戦略」を決め「原発ゼロを目指す」との方針を打ち出したが、19日の閣議では閣議決定とならず、参考文書扱いとなり宙に浮いた形となった。その後、基本問題委員会の審議は中断していたが、ようやく11月14日に再開となったものの、同日、衆議院の解散が決まり、実質的に選挙戦に入った。政権交代が濃厚とみられる状況から、選挙結果待ちとなり、審議再開の目途も立っていない。仮に政権が交代すれば、原発政策が白紙撤回となるため、来年度の白書の扱いも大きく変わりそうである。
 このように原発政策は未決定のまま今日に及んでいるが、石油政策では「石油基地、SS・LPG充填所等の災害対応能力や物流機能の強化など、災害時に確実に石油製品を供給できる体制の整備強化』が決定し ており、予算措置が講じられている。
 具体的な施策としては、災害発生時には、製油所、油恒例、ローリー等の物流網が広範囲にわたり被災したため、政府・石油業界が供給体制の早期立て直しに取り組んだ。また、国内災害時としては初めて、石油の基準備蓄量を引き下げ、民間備蓄の放出を可能とする措置を講じたとの対応をあげている。
 これらの教訓を踏まえ、災害時の供給体制を強化するため、備蓄石油の放出条件の緩和や、災害時の石油業者の共同体制を構築するために備蓄法の改正を行ない、11月から施行している。
 さらに、資源権益の確保のため、資金供給の能力強化を図った「資源確保戦略」を策定して、安定した資源確保に取り組むなどの実施策を評価している。とくに原発事故を機に、
LNG、石油火力発電にシフトが進み、LNGなどの調達が急務となり、天然ガスの開発、供給確保策については、予算を確保し、JOGMEC法の改正などにより、探鉱開発の資金供給の拡大を図っている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE