2012.11.27 のニュース
SS網の自立を保つために
消防法省令改正に伴う地下タンク規制の猶予期限切れまで、残すところ2ヵ月強。来年2月以降も、規制対象となるタンクが次々に出てくる。SSフィールドやセールスルームのリニューアルなど、イメージアップに直結する設備投資と違い、漏洩を防ぐための「縁の下」ならぬ「フィールド下」投資であって、消費者の目には見えない。
よって、できることならセールスルーム、計量機、洗車機こそ改装、新調したいと希望する販売業者も少なくない。しかし、いまの低収益構造を考えると、熟慮の末にようやくタンク補修を決断したというSS、組織活動によって補助金の措置が講じられたから、なんとかなったというSSも多い。その一方、「周囲のSSが閉鎖し、元売はセルフ指向ゆえ、行き場を失ったフルサービス希望のユーザーから、地域密着でやってきた我がSSが見直され始めたのに、将来を見据えると事業継続の道を選べなかった。残念」などと苦渋の決断をした組合員もいる。
また、自社SSを閉めた都心の経営者は、SS跡地前を歩いていた親子連れの子供が「ここにガソリンスタンドがあったよね」と問い、これを聞いた父親が「どんどんなくなっていくので不便だなぁ」と会話する場面に出くわしたという。コンビニ跡地に別のコンビニが入ることはあっても、SS跡地に新たなSSが立つとは考えにくい。エネルギー供給インフラであり、ロードサイド型商店としてのSSは、我々が考えている以上に周辺社会への存在感を持っている。
SSは近くにあったほうが当然便利というのがユーザーの思い。コンビニ、コインランドリー、理髪店などの併設を求める声も過去のアンケート上ではニーズがあった。だが、ニーズ∥利用に直結するわけでもない。消費者は多様な判断材料で選別する。限られた経営資源で、あらゆるニーズに応えることは不可能だ。
他業態は、大資本でさえ選択と集中を進めている。石油業界では、ブランド料を得る一方で業転を溢れさせ、燃料油の低マージンは油外でカバーだと言って指数経営が推奨されている。だが、系列業者の多くは疲弊を免れていない。小売市場の安定に尽力してほしい。これが強い願いだ。「全国サプライチェーンを維持するための、一定需要の確保」。元売各社には、地場業者とともにこれを担う姿勢を明示してほしい。