2012.12.12 のニュース
灯油は増販 利益確保のチャンスに ―在庫は低位で推移、需給締まるー
12月入りとなり石油各社の需給取り組みが焦点となっている。12月は一年間で最も販売数量が多い月であるため増販が期待されているが、各社の石油製品の需要予測では、前年同月比でほぼ横ばいと見通している。ポイントとなる灯油、ガソリン販売の動向がカギとなるが、灯油は12月が厳寒という天気予報となり。ここにきて北海道、日本海側では雪が降り、東日本、西日本も冷え込んでいる。そのため灯油の荷動きも活発化している。在庫も低位であり需給も締まり、適正マージンは確保できそうである。
灯油在庫(1日)は283万KLで前週に比べて12万KL減、前年に比べると69万KLの大幅減となっているが、前々年に比べると4万KL多い。前年は東日本大震災後であり、灯油ストーブが増販となるなど、安定供給を優先して在庫を積み上げた結果である。今年は在庫は低く対応しているが、冷え込みで取り崩しが進んでいる。
8日からの仕切価格は、ガソリンが据え置きであるが灯油は1円/L値上げとなった。需要期入りしたこともあり、元売は灯油の値上げを誘導している。現在、ガソリンに比べて灯油を値上げしており「灯油高のガソリン安」の価格体系に移行している。先物、業転市況は灯油が72円/L、ガソリンが66円~67円で推移している。夏場は「ガソリン高の灯油安」であったが、例年、秋口になると価格差が縮小して、冬場に灯油高に逆転する。
灯油高となるのは、需要期のピークが12月~2月と短く、その間、夏場から在庫の積み増しなどのコストが増加するためであり、海外市況も灯油高となっている。このピークが3月~4月まで続くこともあり、各社の需給取組みを難しくしている。だが、電気、ガスヘの転換が進み減販傾向となっているため、大幅な需要増は望めない状況である。
石油業界では、灯油など石油製品は貴重な資源であり、節約、省エネルギーを提唱しているが、本音では増販を期待している。増販、増益を追求しているが上期販売は446万KLで2・5%の減販となっており、この傾向が続いている。下期では増販で挽回を図りたいどころであるが、天候次第となる。上期の販売は不需要期であるため少なくなったが、下期は需要期であるため上期の3倍強は見込まれる。
しかし、都心部のSSは燃料転換が進み、灯油販売から撤退を余儀なくされており、灯油を販売しないSSも散見されるようになった。
一方、寒冷地のSSでは、冬場の灯油の増収、増益を見込んでいる。寒冷地でも電気、ガスヘの転換が進んでいるが、震災後は、オール電化攻勢は影を潜めている。だが、これを機に都市ガス攻勢が目立っており、灯油販売は、大きく伸びることなく苦戦が続いている。
灯油の暖房も震災を機に評価され、昨年は、灯油ストーブの販売が増加したため増販が見込まれたが、暖冬であったこともあり予想外れとなった。灯油販売は天候次第という要因は強いが、今冬は寒波も襲来しているため、昨年比では増販が見込まれている。加えて在庫が低位であるため、需給が締まり値取りができる環境にある。適正マージン確保のチャンスが到来してきた。