2012.12.18 のニュース
2012年~その内需の明細書
2012年は、販売量、在庫、原油・卸・小売単価という基礎指標を用いる際に、いわゆる3・11の影響による大きな変動が生じた11年のデータとともに、その前年の10年データに遡って、多寡や高低を判断することが多くなった。
暦年データとしては、あと12月を残すのみとなった12年のSS関連3油種の状況。まず内需は、ガソリンは前年比1・0%増、前々年比2・1%減、灯油は3・6%増、2・8%減、軽油は2・4%増、1・2%増。今年度見通しが、前年度比でガソリン3%減、灯油7・6%減、軽油3・4%減だったから、3油種ともに上ぶれしており、予想以上に堅調な内需があった、という概観となっている。
SSから一歩遡った商流、つまり卸に影響する12年の製品の出所を見ると、やや異なる変化が見出せる。ガソリンに焦点を絞ってみると、3・11補正を施した全国出荷量は前年比1・5%減、前々年比4・4%減、東日本は0・4%増、5・3%減、西日本は5・0%減、2・8%減。地域間の温度差は、製油所の稼働停止のよるものが大きいが、それでもガソリン内需に関しての西日本の不振は拭えない。
さらに、前年比で1・0%微増の全国ガソリン内需に対して、全国出荷量そのものが1・5%減退している事実が浮上する。その誤差の多くは、製品輸入で埋め合わせれるように見える。
12年のガソリン輸入は、10月時点で247万㌔㍑に達している。3・11に伴う緊急的な輸入が多量に行われた11年通年の250万㌔㍑にほぼ並び、過去最多に達することが確定的な情勢だ。10年通年比では、実に2・2倍にもなる。
その輸入主体はほぼ元売だろうが商社も多量に国内に持ち込んでいる状況がうかがい知れている。その出所の大元は韓国であり、恐らく名古屋以西に多くが振り向けられたのだろう。これが西日本・元売出荷量の不振の一定部分を補完する構図が見える。
13年3月末までに対応が迫られる高度化法に沿って、川崎、徳山、坂出、室蘭の原油処理停止が明らかになったが、この9月末時点で、石油販売部門が営業赤字に陥る元売が出るほど、粗利を削ったのが12年の国内卸市場であった。それでもなお、競争力が強い=低価格のガソリンが海外には存在する。