日刊ニュース

2012.12.25 のニュース

設備処理、老朽化SSの補強 ―需給安定、収益安定化に期待―

 石油連盟は、19日に今年の10大ニュースを発表したが、その中で「エネルギー高度化法による精製能力削減の進展」(コスモ石油は来年7月に坂出製油所を閉鎖、JX日鉱日石エネルギーは2014年3月に室蘭製油所での原油処理を停止)をあげている。高度化法による各社の対応は、東燃ゼネラル石油(来年2月の中期計画で発表の予定)を除き出揃ったことになる。この結果、約100バーレル/日の設備が処理され、今後は製品需給が安定し、販売業界を含めて経営の安定化が期待されている。 石油連盟は、19日に今年の10大ニュースを発表したが、その中で「エネルギー高度化法による精製能力削減の進展」(コスモ石油は来年7月に坂出製油所を閉鎖、JX日鉱日石エネルギーは2014年3月に室蘭製油所での原油処理を停止)をあげている。高度化法による各社の対応は、東燃ゼネラル石油(来年2月の中期計画で発表の予定)を除き出揃ったことになる。この結果、約100バーレル/日の設備が処理され、今後は製品需給が安定し、販売業界を含めて経営の安定化が期待されている。時期を同じくして、老朽化SSのタンク補強も消防法で規制され、対応できないSSの撤退が余儀なくされることになり、石油業界は元売、販売業者とも変革を求められる時期となっている。
 高度化法については木村石油連盟会長が「高度化法は、精製設備を高度化することで製油所の競争力を高めることが目標となっている。一方では、分母である設備を減らすことになるため、過剰設備問題は一定要件の範囲内で達成されたことになる。国際化の時代にあり、その本質は、競争力を高め、製品輸入価格と戦える体制を構築することにある。その結果、安定した収益の確保が期待できる」と述べた。
 設備処理後については「安定した収益を期待したいが、各社の経営方針の違いもあり、競争が無くなるわけではなく、続くことに変わりはない。しかし、安定を求める方向が持
続できることになる」と語った。
 高度化法の狙いは、石油製品全般の需要減、白油化の傾向を強めている需要状況に対応して、重質油分解装置を導入することで白油化を推進し、製油所の国際競争力を高めることにある。しかし、この方針は政府の建前であり、本音は過剰設備を処理することで需給を安定させることが狙いとなっている。実際には巨額な投資による重質油分解装置の建設は不可能となっており、結果的には設備処理を誘導した措置となっている。石油業界内では、重質油分解装置の解釈に問題がある、輸出での対応が可能ではないか、自由化時代に
法律で実施するのは無理がある、などの意見もあったが、法律に沿って施行となった。
 設備処理は2014年3月末までに完了することになっている。同じ時期に販売業界にも40年~50年前に設置された老朽化SSの地下タンク補強が消防法で規制されており、SS経営者に決断が求められいる。
 SSタンクを補強するには1基あたり約100万円の費用がかかるため、この規制が施行されたことで廃業する業者も増加している。ガソリンの販売減と、価格競争の激化でSS経営は難しく、年間で2000SSが撤退しているが、これを機に一段と減少することになる。SSを補強するために再投資しても、現在の低マージンでは投資資金の回収が困難な状況である。
 老朽化したSSが撤退することで、残ったSSは競争相手が減少することになり、マクロでみれば経営が安定することになる。しかし、現在の過当競争体質を打破することは難しいとみられている。だが、精製段階での設備処理が達成され、需給が安定し、SSの数も減少することになれば、販売業界に新しい秩序が形成されそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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