日刊ニュース

2013.01.24 のニュース

省るべき「起」「承」の悲劇

長さが東京タワー並み、高さ・幅ともに20階建てビル並みという巨大なVLCCタンカー。中東で30万㌧の原油を満載して、ホルムズ海峡、マラッカ海峡という難所を航行、1・2万㌔㍍のオイルロードを片道17日間かけて日本に到着する原油。それでもVLCC1船で日本の消費量の半日分を賄うに過ぎないから、年700隻以上が中東と日本を往復する計算になる。
 VLCCからそのまま受入可能な製油所ばかりではないから、中継基地で10万㌧タンカーに積み替えるケースなどを経て各地の製油所へ。国内の原油タンク容量は約3900万㌔㍑。このほかに10基地4700万㌔㍑の国家備蓄がある。ここまでが原油の領域だ。
 全国27製油所で脱硫など環境性能に磨きをかけて製品化された石油は、そこから570隻の内航タンカー、1640両のタンク車、3500基で容量1150万㌔㍑の油槽所の製品タンクを経て、6900台のタンクローリーに積まれ、3万7千ヵ所のSSへと届く。今朝SSに届いたガソリン、灯油、軽油がたどってきた道である。
 ところが、これでも石油の物語の起承転結の中のごく一部、「転」と「結」を披露したに過ぎない。
 東洋エンジニアリング、千代田化工建設と併せてエンジニアリング専業3社のひとつ日揮。東洋エンジが三井系、千代田は三菱石油の工務部をそのルーツとするという。中でも日揮は財閥系に属さず、英名JGC=JAPAN GASOLINE COMPANYの通り、日本揮発油株式会社として、当初は製油所を有する目的で創業したという。76年に日揮となり、今日では国内最大のエンジニアリング会社となり、シュエールガスなどの資源権益も有する。
 製油所、石化装置、LNGプラント建設の先端技術を有し、メジャーや産油国の国営石油会社を顧客とし、特異な進化を遂げた日本のエンジニアリング3社の領域は、クルマよりも家電よりもよりも早い時期に、海外を舞台に成長するビジネスモデルに変化した。
 今回の事件の舞台もアフリカ最大の面積を有し、世界16位の原油を産出し、天然ガスも世界8位のエネルギー資源大国のアルジェリアだった。エネルギーをめぐる命がけの仕事の最果てで、そのアンカー役を担う我々SSは、安心、安全、適正収益で、石油の「結」を締めくくりたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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