日刊ニュース

2013.01.29 のニュース

車体課税より過重な燃料課税

自動車取得税は消費税10%への引き上げ時点で廃止する方針が決まった。今年度予算上の税収は2千億円強。前年は自動車重量税9千億円中、1500億円程度を減税することとされたから、税制改正では2年連続して車体課税の軽減が認められた形だ。取得税の税率は自家用が5%、営業用・軽が3%。ただ、代替財源は別途措置するとされ、エネルギー課税強化の懸念は残る。
 国税と地方税を合算した租税総収入に占める自動車関係諸税の割合は約1割、7・7兆円に及ぶが、車体課税分は3・3兆円。内訳は自動車税の1・5兆円をトップに、重量税と消費税各0・7兆円と続く。一方の燃料課税分は4・4兆円。車体課税分を上回っている。ガソリン税2・9兆円、軽油引取税0・9兆円で、両税トータルで租税総収入の5%弱に達する。
 自動車業界は、新車価格180万円の1800cc乗用車に平均11年間乗り続け、年間1千㍑を消費した前提で試算を示しているが、その間に要する支出は、取得税8万円、重量税13万円、自動車税43万円に対し、ガソリン税は59万円と最大費目。税金、有料道路代、自賠責保険料まで含めた総合計は185万円と11年間で購入価格を上回り、ガソリン二重課税分まで含めた燃料関係支出が全体の4割弱の67万円になるとしている。
 石油製品は石油石炭税への上乗せという手法で地球温暖化対策税の課税が昨年から始まり、最終的に0・76円の増税により2400億円の税収増が見込まれている。来年4月には消費増税も計画されているのに、さらなる負担増は経済、社会、国民に大きな影響を及ぼすのは必至。引き続き燃料課税の強化を目論む動きを注意深くチェックし、牽制していかなければならない。
 万一にもガソリン税が増税されたら、最も困るのは日常の足としてクルマが欠かせない地方ユーザーだ。エコカーへの買い換えを誘導し、経済成長を促す政策に頻繁に対応し得る国民が大勢であるとは思えない。結局、マイカーの乗車機会を減らし、クルマを手放すきっかけを増やすことになるまいかと強く危惧する。社会保障不安、少子高齢化、人口減。素敵なクルマの登場は歓迎だが、乗りにくい環境を生み出す方向へと進んだら、自動車関連産業にとどまらず、社会全体の活力向上を阻害しかねない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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