2013.01.31 のニュース
SSの需要創りを怠らない
灯油需要は堅調に推移しているが、大幅な仕切り値上げが値ごろ感を脅かし、豊作貧乏との指摘もされ始めた。本格的な灯油商戦もあと2ヵ月程度で、その後はガソリンで自立経営が成り立つようにする必要性が改めて高まる。残り少ない助走期間に足元を一歩一歩固め、適正な利益が得られる状況へと転換することが不可欠だ。とはいえ、構造的な需要減は免れない。
だが、各SSが平均的に減販するわけではないし、SSの減少に伴って1ヵ所当たりのガソリン平均販売量はまだ微増傾向にある。ただし、30年6割減予測と過去最高のSS減少率4・5%をベースに試算すると、4年後からは1SS平均も減少に転じ、16年後には100㌔㍑を割る。特に中小SSとしては、安値量販とは違う切り口から減販に歯止めをかけると同時に、新たな需要を創り出す必要性が一層増す。
緊急事態への備えとして、ユーザーの安心感を高めるために提唱された「満タン運動」。ドライブ旅行活性化に伴う果実も期待できる観光PR協力。いずれも、SS発の呼びかけ自体が難しいものではない。後者の例では、観光資源を有する地元SSが地図やパンフレットを設置する以前からの取り組みに加え、都市部のSSが遠方の観光情報・ドライブ情報を積極的に発信する動きも都内などで徐々に広がりつつある。
今年の国内宿泊旅行者数予測は前年比0・3%増の2・9億人。GWや正月を除いた週末3連休が昨年比3回増の8回となり、GWや旧盆の日並びも週半ばが多いため、その前後に休日を挟む人も増えそうだ。交通手段の約半数はクルマ利用だから、1台2人乗車で70千万台分のドライブ需要が見込める。
個々のSSでも需要づくりの先駆的取り組みが進んでいる。山形県長井市では、災害時に1週間分の燃料供給を保証する安心カードを発行、顧客の安定化を図っているSSがある。新潟県柏崎市では、電子看板∥デジタルサイネージを導入し、SS利用客に地元飲食店などのクーポン券を即発行、地域店舗が連携した新たなサービスがテストされている。
両SSに共通するのは、綿密に企画を練り上げ、リスクを負ってそれを具体化したことと映る。ここまでは至らずとも、もっと身近で手軽にできることはまだあるはず。顧客視点・利用者目線で、SSに期待される姿を再考してみたい。