日刊ニュース

2013.02.04 のニュース

税制改正の財源問題は先送り ―攻防のヤマ場は年末に再燃―

 自民党、公明党による平成25年度の税制改正が決まった。政権交代となったため、年明けから短期間での決定となった。時限措置で3月末に期限が切れるバイオガソリンに係わるガソリン税の免税制度の5年間延長、石油鉱業連盟が要望していた探鉱準備金・海外探鉱準備金(減耗控除制度)の3年間の延長が決まった。
 税制改正の焦点となった、非製品ガスの石油石炭税の還付、森林対策(CO2吸収源対策)の財源問題、車体課税の扱いなどは方針が決定されたが、代替財源問題は継続して検討となり、26年度の税制改正に先送りとなった。そのため今年の秋から年末にかけ攻防のヤマ場を迎える。
 石油連盟が要望していた精製過程で発生する非製品ガスに係わる石油石炭税の還付制度の創設は、昨年9月の経済産業省の25年度税制改正要望に織り込まれていた。この要望の扱いは、自民党税制調査会の最初の○×で「長期検討項目」となっていたもので、自民党税調の税制改正の項目としてとりあげられたため、一歩前進とみることができるが、検討は先送りとなった。石油連盟は「国産石油製品は製油所で発生する、製品として販売できない非製品ガスにも石油石炭税が課税(120円/KL相当)されているため輸入品に対して不利な競争が強いられている。製油所の国際競争力の強化のためにも還付すべき」と要望していた。
 森林対策の財源問題については、農水省から温暖化対策(CO2対策)として森林吸収源の費用を石油石炭税で充当するとの案が、従来から要望されている。造林・間伐などの森林整備の推進に予算を確保する構想について「早急に総合的な検討を行なう」ことが織り込まれたため、今後、石油税が標的となる。
 車体課税(自動車取得税=2000億円。重量税=7000億円)に関しては、自動車取得税は消費税が8%に引きあがる2014年4月から減税、10%となる2015年から廃止が決まった。これを機に、重量税を道路特定財源として復活させる案も出たが「道路維持・管理・更新のための財源とする」と位置付けされ、道路予算として充当される方向となってきた。この件について安倍総理は、国会答弁で「重量税は一般財源で特定財源として復活しない」と述べている。
 この車体課税の減税、廃止は昨年9月の経産省の税制改正でも要望されていた。当時も「車体課税は取得・保有段階で複数の税が課税されており、自動車ユーザーの車離れ、自動車産業、関連産業の停滞による日本経済に深刻な影響を与える」として抜本的見直しを要望されていた。さらに、一般財源となっており、道路特定財源が廃止となったことで、課税の根拠を失っているとの指摘もされていた。
 昨年6月の3党合意でも「消費税の引き上げ時までに結論を得る」としていたため、政権交代後も、そのまま引き継がれている。このような状況から昨年11月14日、総選挙の直前に石油連盟、全石連が共同で、石油諸税にさらなる課税をすることに反対を訴える決起大会を開催したが、車体課税の廃止に伴う代替財源の結論は先送りとなった。代替財源を石油に求めることは必至であり、この攻防は、今年の秋から年末にヤマ場を迎える。


提供元:株式会社 石油タイムズ社
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