日刊ニュース

2013.02.26 のニュース

石油火力をバックアップ電源に ―平時から一定需要の確保をー

 木村石油連盟会長は、エネルギー基本計画の審議の再開を前に、①審識の場に石油業界から委員が参画できるようにする、②石油の位置付けを明確にする、③石油火力を供給安
定型(バックアップ電源)に位置づけ平時から安定稼働すべきである、などの点を再度要望している。
 エネルギー基本計画の審議は、3月に総合資源エネルギー調査会で再開となるが、前民主党政権での「革新的エネルギー戦略」で決定された「2030年に原発ゼロを目指す」との基本方針をゼロベースで見直すとしている。委員の人選はこれからとなるが、産業界からの参加を認め、脱原発派の委員を交代するなど、委員の構成を変更する。
 民主党政権でも『基本計画をゼロベースで見直す』として審議に入っており、脱原発(ゼロ)の委員が9名程度参画していたため、推進派の委員と対立した。報告書では「原発ゼロ」と「原発15%」と2分されたが、政府案では「原発ゼロ」の方針となった。だが、閣議決定に至らず、その扱いも宙に浮いた形となった。その結果、総合エネ調の審議も中断、三村委員長は、政府方針が目標であるか否か不明瞭であると反発した。その後は、総選挙となり自民党に政権交代したため、長期エネルギー需給見通しも策定されず今日に及んでいる。
 前回の審議では、原発と再生可能エネルギーの問題に終始したこともあり、石油、LNGなど化石燃料についての問題点は後回しとなっていたもので、今後に議論されるものと思われる。原発をゼロとして、その減少分を再生可能エネルギーでカバーするという現実を無視した情緒的、感情的な議論となっており、産業界からは反発が出ていた。
 再生可能エネルギーについては、導入推進のための固定買取価格が決まり、制度としてスタートしている。だが、太陽光発電は設置が容易であり増加しているが、その他の風力、
地熱、水力はリードタイムが長く、投資コストも高く、リスクが伴うため簡単には普及しないとみるのが現実的である。
 足元の問題では、福島の原発事故を契機に、原発の稼働が昨年6月にゼロとなった結果、電源構成が石油火力、LNG火力に大きくシフトしている。石油については、2009年に7%であったものが2011年には14%と急増している。ちなみに、昨年12月の10電力の石油の受入は原油が152万KLで前年比12%増、重油は160万KLで21%増となっている。合計で312万KLとなっており、原発事故以前が80万KLであったため4倍となっている。
 そのため、石油業界ではC重油の増産とLSの南方原油の輸入などで供給を確保してきた。重油用タンカーが廃棄されているため、外航船の臨時投人を行なうことで、安定供給に努めている。過去においても、中越地震で石油火力の果たした役割が大きく、石油業は、今後も安定供給を求めるのであれば、平時から一定の稼働を行なうことで、安定した需要を確保するよう要望している。さらに、長期的には石油火力のリプレースと排煙脱硫装置の設置が必要であると要望している。これらの要望は、エネルギー基本計画の審議が再開されるのを機に、石油連盟としての立場を明らかにしたものである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE