日刊ニュース

2013.02.26 のニュース

善後策に追われるSSの苦境

石油協会の経営実態調査報告書によると、11年度決算期のSS経営はやや良化したものの、いまだ営業赤字比率は44%、特に1SS業者は49%と半数を占めることが判明した。営業利益0~500万円までを加えれば、赤字または黒字幅の低い企業が8割弱に達する。昨今の商環境をみると、今期は一層厳しいとの見方も強まっている。
 特に小規模業者の苦境ぶりが、各データの随所に表れた。第1に、SSの立地状況。3年前と比べ、街道立地型は50%から53%増加する一方、商業立地型は18%から12%に減少。主要街道沿いに量販セルフ、街中に中小フルという棲み分けが相当進んだから、相対的に元売子会社を中心とした社有SSの増勢、地場店の劣勢がSS配置図に浮かび上がる。
 第2に、1SS平均レギュラー月間店頭販売量。1SS運営業者の56KL、2~3SS業者の76KLに対し、10SS以上業者は148KL。1・9~2・6倍のボリューム格差がある。この状況をつくり出す要因と推察できるのが、仕入価格および販売価格の差。1SS業者と複数SS業者では、仕入格差が最大1・5円。1社当たりガソリン販売量別でみれば最大4・1円も違う一方、販売価格差は最大6・1円もある。小規模業者にとっては、採算販売が生命線だ。
 元売からは低マージンでも耐えうる体質強化が促され、ブランド料4円程度が上乗せされる中、小規模業者は灯軽油を含めたバランス販売と系列外仕入によって苦境を凌いでいる様子がうかがえる。系列外購入者の割合はレギュラーで4割弱に達し、購入比率は「3割未満」19%、「3~5割」8%、「5~7割」4%、「7割以上」5%。だが、過半は劣勢な系列仕入れで踏ん張っている。
 元売は、こうした現実を把握しているはずだ。ブランド価値や品質を評価し、長年の取引を続けている系列オーナーに対し、心苦しさを感じないのだろうか。同系列SSの廉売に振り回されている姿を、努力不足と突き放すのだろうか。あるいは、相応のブランド価値を提供しているという自信と信念に基づいて系列SSに接しているということか。「ブランド提供者自ら安売りするような業態は他にない」と断じられるような販売戦略を続けることは、市場の破壊行為そのもの。大至急、信頼に足る行動をとってほしい。競合エネルギーに負けない精販一体の業績浮上を期して。

提供元:全国石油商業組合連合会
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