日刊ニュース

2013.03.05 のニュース

円滑転嫁も元売の責務

いま石油販売業界は三重苦に直面している。「2月危機」とまで呼ばれるようになった消防法改正に伴う地下タンクの漏洩防止対策の義務付けがその一つだが、それに加えて着実に進む石油需要の減少と、急激な円安による転嫁不足の拡大である。いずれも高いハードルだが、これを乗り越えなければ、わが国の石油業界全体が疲弊する。
 地球温暖化防止のために政府主導で進められている次世代自動車の普及促進や自動車の燃費向上。自動車用以外でも再生可能エネルギーへの転換や天然ガスシフトなどが政策として進められている。いわば、国が石油需要の減少に向けて旗を振っているのである。
 また、この政策を進めるための財源が、石油石炭税とそれに上乗せされた地球温暖化対策税から支出されており、大きな矛盾が起きている。これについては別稿で改めて取り上げることとして、この政策によって需要が縮小する中、円安に伴う石油製品価格の高騰が、経営に深刻な影響を及ぼしている。
 元売各社は毎週のように仕切価格の引き上げを通知してくるが、SS店頭ではそのたびに、お客様に頭を下げて値上げをお願いしている。しかし、実際には十分な転嫁はできていない。昨年12月から2月にかけて仕切価格は10円上昇したのに対し、資源エネルギー庁が発表している小売価格調査ではこの間、7円しか上昇していない。つまり3円の転嫁不足が発生しているのである。
 元売は仕切価格を週決めに変更する際に、原油価格の変動を市場に反映させるため、といってきた。しかし、SS店頭では、高値圏突入で価格に敏感になっているお客様に、一層の値上げをお願いするのは容易ではない。SSがこうした苦労をしているにもかかわらず、元売は期中の仕切り下げを通知するなど、現場を混乱に陥れている。その結果、過去の未転嫁分の確保もできず、市場は荒れ果てる。こうしたことが毎週のように起きているのが、現在のSS市場である。
 原油価格の変動を市場に反映させるのが元売の市場へのスタンスであるならば、混乱を引き起こす突然の期中下げなど避けるべきであり、小売価格に円滑に転嫁できるよう、環境を作るのも元売の責務である。業転格差の解消や子会社の率先転嫁なども当然のことだ。元売がやるべきことは山のようにある。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE