2013.03.07 のニュース
シェールガス開発に取り組む -LNG確保と国内供給に寄与-
石油資源開発は4日、ペトロナスとの間でカナダブリティツシュ・コロンビア州のシェールガス開発・生産とLNGプロジェクトに参画すると発表した。シェールガスヘの参入は商社などが推進しているが、開発企業としてのLNG確保計画が注目されている。
このシェールガス鉱区(ノース・モントニー地域)では、すでにペトロナスがカナダの大手業者を買収して生産を行なっており、西カナダの主要都市で販売を開始している。計画では参入鉱区からLNGプラント候補地(プリンス・ルパート、レルー島)までの750㌔㍍のパイプラインを敷設することになっており、利用料を支払って活用する。
LNGプラントの規模は年産1200万㌧(600万㌧/年が2基)で、プラント開発費は約8000億円~1兆円となる。プラントの建設は2014年末から着手する計画である。
シェールガス開発からLNG化して輸出する事業に石油資源開発が10%、ペトロナス(オペレーター)が90%の各権益を保有することになり、LNG生産量1200万㌧/年(生産開始は2018年末)のうち、10%の権益分に相当するLNG120万㌧/年を石油資源開発が引き取る権利を取得し、費用、引き取り量、利益などの10%が石油資源開発の収益となる。
日本にはLNGとして輸入するため、現在、事業化を調査中である相馬LNG受入基地(福島県新港町)の建設と、仙台パイプラインとの接続でインフラを結び、東北地域の太平洋岸のガス需要増に対応して販売する計画である。
石油資源開発では、中期計画で海外事業の強化を打ち出しており、カナダのオイルサンド(新鉱区での拡充)、インドネシアのカングアン、イラクのガラフ油田(近く本格生産)を3大開発プロジェクトとして取り組んでいるが、今回のカナダのシェーガスの開発も
大型プロジェクトとして位置付けている。
シェールガスは2005年頃からアメリカで生産され、2008年には国内の8%を占める状況となり、今後、世界最大のガス輸出国になるといわれており、「シェールガス革命」、「天然ガスの黄金時代の到来」と注目されている。日本においても東日本大震災を機に、原発の稼働がゼロとなったことでエネルギー政策を見直すこととなり、LNG火カヘシフトする「天然ガスシフト」を経済産業省が打ち出している。
同時にLNGの輸入増(2012年は8468万㌧で前年比10%増)、輸入価格の高騰で貿易収支が赤字となるなど、経済に大きな影響を与えている。輸入価格もアメリカ国内の価格に比べて大幅な価格差があり、安倍総理も日米首脳会談でシェールガスの輸出を要請した。経産省はシェーガス開発の促進を図るための支援策として、産投会計の資金が活用できるよう制度を改正するなどの方策で臨んでいる。
このような情勢の中で、石油資源開発の取り組みは、LNGの量的な確保、需給緩和による輸入価格の引き下げに寄与できるプロジェクトとなる。