2013.03.07 のニュース
公共インフラとして存在感
国会で新年度の本予算審議がスタートした。石油販売業界が強く要望してきた「地域エネルギー供給拠点整備事業」、いわゆる地下タンクの撤去・入換え補助事業の改正が実現する予定だ。
SS地下タンクについては、消防法規制強化に伴う地下タンクの漏洩防止対策補助事業が、石油販売業界の悲鳴に応えて12年度予備費から87・4億円が計上された。今後、改正消防法の補修義務付けの対象になる地下タンクを持つ事業者は、ほっと胸をなでおろしたところだ。これに次いで要望が多かったのが地下タンク入換え事業の全国化である。
これまで同補助事業は、地下タンクの撤去については全国どこの地域のでもSS補助の対象となってきた。しかし、タンクの入換えについては、供給不安地域に所在するSSだけが対象で、それ以外の地区の事業者がタンクの入換えをして事業を継続しようとしてもかなわなかった。
それが、東日本大震災を教訓に、SSの災害対応能力を強化するとともに、地域におけるエネルギーの安定供給を図る観点から、入換える地下タンクの大型化や災害時に国からの供給要請に努めることなどを条件に、改めて全国のSSを補助の対象にする。また、補助率もこれまでは小規模事業者が3分の1、非小規模事業者が4分の1だったものを、中小事業者を3分の2に拡充し、非中小事業者は4分の1に据え置かれた。
従来のSS過疎地でなければ補助を受けられないということは、人口の過疎化などによりSSが次々に撤退した地域で、かろうじて供給を繋ぐための意味合いがあった。それが、全国のSSが対象になったことで、事業戦略的に活用することができる補助金になる。
改正石油備蓄法では、災害時における地域の燃料供給拠点として、地下タンクの増強や自家発電設備の設置などしたSSを「中核SS」として整備し、その届出が義務付けられ、全国整備が始まっている。今回のタンク入換え補助制度を活用して地下タンクを刷新するSSは、この中核SSに次ぐ供給拠点でもある。
災害時だけに限ったものではなく、常に燃料供給が途絶える危険性があることからも必要性が増している。だからこそSSの地下タンクに対する国の支援の大きさは、SSが公共インフラとしてますます存在感を増している証でもある。