2013.03.11 のニュース
エネ基本計画が審議入り-石油の位置付けなど政策審議-
総合資源エネルギー調査総合部会は、15日午後6時30分から経済産業省会議室で初会合を開き「エネルギー基本計画」の審議に入る。民主党政権の基本問題委員会から親委員会である総合部会に格上げして、新しい委員15名で再開する。部会長には、前基本問題委員会の委員長であった三村明夫新日鉄住金取締役相談役が就任する。
当面は原発政策、再生可能エネルギーについての審議が中心となるが、これらはすでに一応の議論を終えており、今後は政府(自民党)の判断に委ねることになる。そのため、今回の総合部会開催を機に石油政策のあり方、石油の位置付け、石油の安定供給策、長期戦略などが審議されることが望まれている。
自民党政権は「エネルギーの安定供給、エネルギーコストの削減、責任あるエネルギーとしており、これまでの議論を白紙に戻してゼロベースで見直すものである。原発は、原子力安全委員会の新しい安全基準をクリアしたものは再稼働を認めるとしており、原発推進の立場を明確にしている。
そのため委員の選任において、前回の反原発派の委員は2名が再任されたが、その他の委員は外されており、原発を容認する推進派の委員が再任されている。また、新たに産業界からも選任されるなど、自民党政権の方針に同調する委員で構成されている。政権交代によりエネルギー政策の変更が明確となっている。
民主党政権下では、基本問題委員会でエネルギー基本計画の審議を行ない、原発ゼロと原発15%に分かれた方針を提示したが、平行して内閣府で審議していた関係閣僚によるエネルギー・環境会議で、昨年9月14日に「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。基本方針として「2030年代に原発ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する。その過程において安全性が確認された原発は、これを重要電源として活用する」と定めており、さらに、原発に依存しない社会の実現に向けた3原則では、①40年運転規制を厳格に適用する、②原子力規制委員会の安全確認を得た原発のみ再稼働する、③原発の新設・増設は行なわない、との原則を決めた。
しかし、この方針は後日の閣議では決定されず、参考文書扱いとなるなど迷走した。この政府方針に対して、その後に開催された総合エネ調でも審議されたが、三村委員長は原発ゼロは目標なのかどうなのか不透明であると批判、以後は総合エネ調の審議は中断したまま再開されず、年末の総選挙で自民党が政権を獲得したことで情勢が変わり、エネルギー政策の「ゼロベースからの見直し」となったものである。
原発についての審議が焦点となるが、民主党政権下でも電力不足解消のために、一部再稼働(大飯原発)を認めた経緯があり、反対論も出た。
原発の再稼働に際しては、安全基準の設定、人命尊重か経済性(コスト)かとの感情論、安全性の担保、電力料金の値上がりに伴う産業の空洞化、雇用問題など総合的に、かつ
慎重な審議が求められるため、時間がかかるものとみられる。
産業界からは、現実的で地に足が着いた議論が求められており、初会合では、今後の日程、問題点の整理、目標の設定などが審議される。