2013.03.11 のニュース
消費者理解の拡大に期待
先ごろ石油連盟が開いたシンポジウム「石油の力。~消費者に選ばれるエネルギーを目指して~」では、石油の重要性について消費者代表を交えて様々な議論が行われた。石油業界はこれまで、ほかのエネルギーと比較した場合の石油の経済性や利便性などの利点を努めて訴えてきたつもりだが、なかなか理解されないもどかしさがあった。そういう意味では石油のメーカーが消費者を正面に置いて行ったシンポジウムの今後の広がりに大いに期待したい。
これまでの石油業界は、オール電化に象徴される電気シフトをはじめ政策主導で進む天然ガスシフト、そして再生可能エネルギーの可能性など、競合エネルギーの普及・進展に、自信をなくしていた感がある。しかし、東日本大震災以降、石油業界人の中にある「信頼される石油」への思いがリセットされた。
ほかのエネルギーが寸断され再起できない中で、石油業界はいち早く被災者に灯油を届け、病院や緊急車両などに燃料を届けた。パネリストの一人である仙台在住の女性フリーアナウンサーは、自らが燃料調達に駆け回った経験を生々しく紹介するなど、あの震災で石油が果たした役割、今後の供給ネットワーク維持の必要性が、業界ではなく消費者目線で議論された。
消費者団体の代表は全国の会員を対象に行ったアンケートやヒアリングによって「北海道や山間部などでは灯油は生きるための必需品」「公共交通機関が限られる地域では全国どこでもガソリンは必需品」との認識が浮き彫りになったことが紹介され、「都会とそれ以外の地域では石油に関する意識や関心に大きな差がある」と指摘。その代表は「非常時に備えて、学校や公民館など避難所となる場所では、日ごろから灯油を含む多種熱源、動力源を使い続けておくことが重要」と提言した。
まさにわが石油販売業界が常々訴えてきたことであり、それが消費者から提起されたことに大きな意味がある。
石油販売業界は「石油の日」のキャンペーンや消費者との懇談会、石油感謝の日の集いなど、消費者を対象にした取り組みを行ってきている。こうした販売業界の地域的な取り組みに加えて、石油への消費者の理解を深めようとメーカー団体が総力を挙げて消費者を意識したシンポジウムを開催したのである。そのアピール力に期待したい。