2013.03.14 のニュース
中期計画 販売減少下で利益確保を-石化、石油開発、新規分野での拡大-
石油各社の中期計画が発表された。コスモ石油、東燃ゼネラル石油、昭和シェル石油が向こう5年間、出光興産は3年間となっている。各社、利益目標の数値を出しているが、昭和シェルは、原油価格など不透明であるとして数値を公表していない。
今年が中期計画のスタート時期となったが、石油業界の環境としては高度化法による過剰設備の処理が、来年3月末で期限となるため、この時期が方針を決めるタイミングとなったこともある。コア事業である石油事業は需要の減少が続くことから計画を見直しすることになり、石油化学、石油開発、新規事業、製品輸出、海外事業への展開などで再スタートする節目の年となった。
設備処理は、コスモが坂出製油所の廃棄は決めているが、さらに処理分か不足するため堺製油所の重質油分解装置の4000バーレル/日の増強を検討中である。東燃ゼネラルは、川崎のHオイルを、さらに3500バーレル/日増強して3万4500バーレル/日に引き上げることを明らかにした。他社は高度化法の対応を終えており、来年以降は、設備処理が達成され、新しい生産体制の枠組みができる。だが、今後は石油需要の減少が続くことになり、需要減をカバーしながら利益の確保を狙うことになる。
各社の中期計画をみると、出光の第4次中期計画(最終は2015年度)の営業利益は1500億円、利益は530億円を目標としている。事業別では、基盤事業(燃料油、基礎化学品など)が640億円(2012年度見通し715億円)、資源事業が540億円(205億円)、高機能材事業が360億円(120億円)、共通で40億円のマイナス(同40億円のマイナス)で1500億円(1000億円)となっている。うち、燃料油事業は2014年3月の徳山製油所の処理機能の停止を含む供給ショートポジション戦略を展開し、国内販売ネットの強化、3製油所体制での安全操業をあげている。
コスモは、2017年度の経常利益1120億円(2012年度見通し380億円)を目標に、事業別では石油開発が775億円、石油精製販売が180億円、石油化学が100億円、再生可能エネルギーなどが65億円としている。原油価格は100㌦/バーレル、為替が90円/㌦を見込み、石油開発(ヘイル新鉱区の生産開始)の増益を期待している。設備投資は2800億円で石油開発に1270億円を計画しており、その他、製油所では千葉リニューアルプランとして特別枠を設けている。
東燃ゼネラル石油は、新体制で初の中期計画となり、2017年度の営業利益を800億円~1000億円、内訳はコアビジネスで620億円、統合効果で160億円、成長戦略で200億円程度を見込んでいる。投資計画は900億円、燃料油から化学品へのシフトを推進する。
昭和シェルは、利益目標の数値は提示していない。石油事業の収集ナンバーワンを目指すため、コスト構造改善に努め、成長分野(石油科学)の事業拡大を図るとしている。また、太陽電池事業は、製販のリーディング・ポジションを確立し、下流分野でもリーダーとなり、今後は国内販売の拡大に努める。石油事業は国内販売が減少するが、設備に有効利用を行なうことで、他社との業務提携を強化するとしている。