2013.03.19 のニュース
必要とされる「SSの力」
自信を持って胸を張って、高い志を持って業を営む。さらには、安定的な雇用を生み出し、精一杯、地域社会に貢献する。SSにはその潜在力があるのだ。
石油の世紀と称される20世紀。SS経営者は、ガソリンや灯油という必需品を商いながら、地域社会においても、自治会や交通安全・消防活動、あるいは教育の場でリーダーシップを発揮し、地域の名士に恥じない役割を果たし続けてきた。
21世紀に入って、代替・新・再生可能という冠が付いたエネルギーが待望される風潮ではあっても、まだ首座にあるのは石油だ。右肩上がりの量的拡大は終わっても、今年度のガソリン市場の規模は5600万㌔㍑台で、セルフ解禁の1998年よりも大きい。まだ緩やかな減少が始まったに過ぎない。
欧米発の短期評価型の収益が幅を利かせ、なんでも指数化する経営手法の導入で、損益分岐点の低減を経営の柱に据えてしまった。その結果、省力化にいそしんで灯油配達をやめたり、小規模では経営が成り立たないレベルまで口銭を減らしてしまった。ここがSSが道を誤った原点だろう。
量的な期待ができないSSには、本当は早期退場を勧奨したい。合理的でない配達にかかる経費・人手は、それを削るかカード販促にまわしてほしい。恐らくは、これが元売の本音だろう。ところが地域社会は、小規模で老朽化したSSを「必要だ」と言ってくれる。ガソリンや灯油を売るSSが身近にないと「困る」とも言ってくれる。配達に訪ねた先の老婦人は「ありがとう」と発して、お茶を振る舞ってくれる。
こうした「SSの力」が大きく発揮されることで、広く地域生活者の安心・安全な暮らしが担保できる。ここが脚光を浴びたからこそ、大震災以降に政治と行政が本気になり、支援を惜しまない政策が多く実行され始めている。
側面支援を得ても、本業の基盤が弱いままでは、多くの方々からSSに付託された責務は果たせようもない。SSの経営基盤を強固なものにする手法として、量的な拡大、極度な合理化という欧米的な解決法とは決別すべきだ。拡大と削減以外の手法で、地域社会から求められる商売を続けていく、または回帰するために必要なもの。口銭を回復させることで、地域に優しい「SSの力」は持続的に発揮される。