日刊ニュース

2013.03.21 のニュース

エネ基本計画見直し 議論を再開 生産、流通、消費の3段階から審議

 総合資源エネルギー調査会総合部会は15日に初会合を開き、エネルギー基本計画の審議を再開した。前民主党政権時代は、基本問題委員会で33回(昨年11月まで)にわたり審議されたが、政権交代によって中断されており、自民党政権の発足で4ヵ月ぶりに開催となった。
 審議は総合部会に格上げとなり、部会長には、三村新曰鉄住金取締役相談役がそのまま再任された。委員は15名で構成され、反原発の委員は2名に止まり、中立、推進派の委員が再任されるなど、大幅な入れ替わりとなった。前民主党政権の方針であった「2030年代に原発ゼロを目指す」を見直すことになり、より現実的な議論が期待されている。初会合では各委員からの意見が聴取されたが、再任者も多く、これまで行なった議論を白紙にするのではなく、継続して審議することになる。
 安倍総理のエネルギー政策の基本方針として「前政権のエネルギー・環境戦略をゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点を含め、責任あるエネルギー政策を構築する」と表明されている。原発については「原子力規制委員会で新基準を設定、その上で安全性が確認された原発は再稼働する。省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度を低減させる。電力システムの改革に着手する」としており、原発の再稼働を前向きに認めていることが大きな違いである。茂木経済産業大臣は「年内までに一定のとりまとめを行なう」と述べている。
 エネルギー政策の進め方としては、エネルギー源の多角化、低廉な「生産」(調達)と、効率的な「流通」、スマートな「消費」を目指す各3段階の切り口から、エネルギー制約の克服とコスト低減への取組みに着手する。
 生産(調達)段階では、①再生可能エネルギーの最大限の導入、②風力、地熱発電の設置、③安全性が確保された原発の活用、④高効率火力発電(石炭、LNG)の導入、⑤メタンハイドレートなどの国内資源開発の推進、⑥官民を挙げての低廉なLNGの確保などを挙げている。
 流通段階では、①電力システム改革(小売・発電の完全自由化、送配電部門の中立化を図る)の推進、②広域系統運用を拡大、③電力料金の厳正な査定(料金への燃料コスト低減努力に反映など)、④安定供給のためのネットワーク強化(送電網、ガスパイプライン網)、⑤石油・LPガスの強靭なサプライチェーンの構築などを挙げている。
 消費段階では、①工場への先端最新設備や省エネ設備の導入などの産業競争力を強化する、②トップランナー制度を通じて、自動車や家電に止まらず、今後、住宅、ビル等の省エネルギーを強化する、③需要者が供給側の状況に応じて需要を選択できるエネルギーマネジメントステムの普及を図るなどを挙げている。
 論点としては、原発依存度の低下、電力需給の逼迫、燃料輸入の増大による貿易赤字、廃炉対策の推進、振興国の需要増と地政学リスク、シェールガス革命によるLNG価格低下の可能性などを背景に、生産段階では、原発の安全性、再生可能エネルギーの拡大、エネルギー調達の多角化、流通段階では、電力システムのあり方、石油・LPGのサプライチェーンの強化などを審議する。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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