2013.03.22 のニュース
エネ計画は月1回ペースで審議-化石燃料で業界から意見を聴く-
総合資源エネルギー調査会総合部会は15日に初会合を開き、エネルギー基本計画の議論を再開した。
今後は月1回程度の開催となり、年内には一定のとりまとめを行なうことになる。ただし、原発などの数値目標については、原発の再稼働が、どの程度進むか見通しが難しく、茂木経済産業大臣は「年末の時点ではエネルギーのベストミックスを確定することは難しい」とみている。
前回までの会合では原発問題に終始しており、「脱原発」と「原発推進」の対立が鮮明となり、審議が堂々巡りとなった。人命尊重の感情論と産業育成(経済性)の優先が対立軸となり、エネルギー政策論は迷走した。
また、前民主党政権では、政府が主要閣僚で構成するエネルギー・環境会議を設置して「革新的エネルギー・環境戦略」を常に先行して審議したこともあり、総合エネ調の議論は常に後追いとなっていた。総合エネ調では、電源構成で原発ゼロ、15%、25%案が提示されたが、結局、政府が昨年9月に「2030年代に原発ゼロを目指す」との方針を決めた(閣議決定には至らず)。この方針を受けて昨年11月18日に開催された総合エネ調では、当時の三村委員長が「原発ゼロは、目標なのか明確にすべきである」と反論、本来であれば、政府の方針に沿ってエネルギー基本計画を策定するところであったが、審議は中断した。その後は、総選挙となり自民党が圧勝して政権交代となった。
前民主党政権時代には、基本問題委員会で昨年11月まで33回にわたり審議されたが、原発問題が中心であり、他のエネルギー問題は議論されていないため、化石燃料を審議すべきとの意見も出ていることから関係業界の意見を聴くこととなる。
審議は総合部会に格上げとなり、部会長には、三村新日鉄住金取締役相談役がそのまま再任、委員は15名(5名が新任)で構成され、反原発の委員は2名にとどまり、中立、推進派の委員が再任されるなど、委員が入れ替わった。
すでに安倍政権の基本方針としては「前政権のエネルギー・環境戦略をゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点を含め、責任あるエネルギー政策を構築する」と表明されている。原発については「原子力規制委員会で新基準を設定、その上で安全性が確認された原発は再稼働する。省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度を低減させる。電力システムの改革に着手する」との方針を打ち出しており、原発の再稼働を認めていることが大きな違いとなる。茂木経産大臣は「年内までに一定のとりまとめを行なう」と述べている。
前回までの審議では、原発の再稼働に際して、その新しい安全基準が決まるのが7月頃であり、実際に再稼働を認めるか否かとなると時間もかかるため、原発のシェアを見込んだ電源構成を策定するのは難しく、そのため電源構成を数値で示すべきでないとの意見が出ている。
そのため、これからの審議は、「生産」(調達)と、「流通」、「消費」の各3段階に区分して、この切り口からエネルギー制約の克服とコスト低減への取り組みについて検討することになる。そのなかで、石油の強靭なサプライチェーンの構築も議論となる。