日刊ニュース

2013.03.25 のニュース

各社間の製品融通が拡大へ-設備処理進展で効率化を追求-

石油需要が減少、高度化法による設備処理が進むなど、石油業界の環境が大きく変化する状況下にあり、各社間で業務提携、協業化による効率化を図る動きが出ている。昭和シェル石油と東燃ゼネラル石油は18日、原油調達と石油製品供給体制を構築するために、協業化の具体策を検討することで基本合意した。
 検討内容として、①川崎地区製油所における原料利用の融通と原油船の共同運航、②輸送所の共同運営、③製品転送および交換(輸出入を含む)などが挙げられている。両社はすでに、川崎地区で昭和シェルの子会社である東亜石油の京浜製油所と東燃ゼネラルの川崎工場との間につながるパイプインを経由した原料の融通や、各製油所、油槽所における石油製品の融通を行なっているが、さらに拡大を検討するものである。
 また、JX日鉱日石エネルギーは室蘭製油所を、出光興産は徳山製油所の操業を停止することとなり、不足する地域の供給を相互融通する業務提携を締結した。JXエネルギーは、北海道では出光の北海道製油所から供給を受け、出光はJXエネルギーの大分製油所から西日本地区への供給を受ける。この提携を前提として設備処理が実施となった。両社は、1996年から物流提携を行なっており、今回の提携では製品融通230万㌔㍑(4万バーレル/日)となっている。
 このような石油製品の融通は、自由化を機に各社間で実施されている。これまでは少量での融通であったが、石油需要が減少し、設備処理が進むにつれ、安定供給確保のため、融通される石油製品は大量となり地域も拡大することとなる。
 石油需要が増加していた時期は、系列販売を重視した供給が行なわれており、他社への融通はなく、自社ルートで供給、全国で各元売のマークを掲げて販売していた。しかし、製油所が統廃合によって減少することになり、供給面からみると全国網で販売することは難しくなってきた。日本海側に製油所がなくなり、北海道は出光、四国は太陽石油、九州はJXエネルギーの各1ヵ所となった。
 このような状況からみると全国での販売は、長距離のタンカーやローリー輸送の運賃、油槽所管理などでコスト増となる。コスト削減を図るには元売間の製品融通が必要となってくる。だが、融通は各社間での受入、払い出し地域、数量が合致することで双方にメリットが生じ、成立となるが、製油所の立地によっては融通が難しいケースも出てくる。
 業務提携、融通が成立しないケースでは、自社ルートでの供給となりコスト高となる。販売減とコスト高が続くと、販売から撤退というケースも考えられ、販売網の見直しが必要となる。そのため、各社とも支店の再編成、縮小、重点地区への特化などの戦略に取り組んでいる。
 今後、さらに減販が拡大するとSSの過疎化と同様、供給問題が元売ベースでも生じてくる。サプライチェーンの維持強化が石油政策として論議となっているが、販売数量の減少、コスト高、採算割れが定着すると安定供給が不可能となる。安定供給の確保には、安定需要が前提となるが、以前、経済産業省で策定していた5年間の石油製品の需要見通しが、未だ策定されず、先行きが見通せない状況が続いている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE