2013.03.25 のニュース
卸体系は早期修正が必要だ
口銭を守りたい、と切望するSSの最大の阻害要因は、同一商圏内の廉売である。特殊な購入方法による廉売を一般価格と誤認するような表示を行うプリカを含むカードによる廉売も迷惑千万な行為だが、やはり現金フリーの廉売が最も厄介だ。しかも、その価格表示が、自らのSSの仕入価格よりも安価な場合、とても平静ではいられない。
当然、全税別ではあるが、これを元売に例えると、自社が仕入れる原油価格よりも安いガソリン価格を常時、他元売が実現していることと同じ意味がある。これが長期化すると、いくら石油以外の事業で収益を上げようが、どんな大会社の元売でも、その生存の道は閉ざされる。
このことと同じ類の行為が小売市場では、現象として許容されているように映る。業転に変化した元売玉が、その元売自身の系列SSを苦境に陥れる構図だ。であるとしたら、いくら業転化したとはいえ、自社の物流網から放出された玉に対して、それがSSで売られる局面まで、元売は責任を持つべきである。自らが出荷した玉が、どのように転がろうが、決して、自らの系列仕切りを下回るような小売り値付けにつながらないようにする管理責任が、元売にはあるだろう。
今週のガソリン小売価格。消費税込みの近距離のSS届けベースのガソリン卸価格は、いわゆる業転が139円前後、系列は144円前後だろう。ところが、全国の廉売SSの中には、140円割れのPB勢に交じって、れっきとした系列SSが複数登場する。スポット仕入れであるはずのないJA系SSも登場する。SS名称などから推計すると、オープニングセールなどの特殊要因ではなく、廉売が常態化している。
間違いなくその周辺では、自らの仕入価格よりも安価な小売価格を実現する競合SSの存在で、口銭が守られるどころか、売れば売るだけ赤字が膨らんでいって悲鳴を上げるSSが存在している。
系列SSがあるからこそ、元売は元売なのだ。その系列が苦しんでいるのに、玉を垂れ流す一方で、子会社SSには廉売追従を奨励するかのようにして、数量の最大化を追い求めているように映る。
系列を1円下げれば、恐らく業転は3円上がる。価格が折り合わなければ無理に売らなければよい。折り合ってしまう弱さを、系列高にしわ寄せしてはいけない。