2013.03.26 のニュース
新SS戦略に期待するも-減販を覚悟でマージン確保を優先-
元売各社は、13年のSS戦略を打ち出しているが、ガソリン需要が減少する状況下で、①カード会員によるユーザーの囲い込み、②会員割引き(現金、プリペイドカードなど)の恩典の活用、③車の整備などカーケアサービスの充実、④フルサービスSSの見直しによる強化、⑥CVを併設など、SSの体質強化に取り組む。目標は「地域で選ばれるSS」、「総合サービスができるSS」、「ユーザーに選ばれるSS」となっている。
これらの戦略は、良質な顧客を囲い込み、適正マージンを確保し、カーケアサービスの充実で利益を確保することを基本としている。現在、円高、デフレからの脱却を図る安倍政権の経済政策によって、株価の上昇、円安に移行しており、景気上昇が期待されている。だが、円安による円建て原油価格の上昇でガソリン価格が値上がりしたことで、ガソリン販売が減販になるとのマイナス要因も表面化してきた。
いずれにしてもSSを取り巻く環境は、大きく変化している。とくに今年は大きな節目の年を迎える。消防法の改正で老朽化したSSは、地下タンク増強が求められ、これに対応できなければ、廃業となるためSSの淘汰が進み、一時的であるがSSは大幅に減少する。SSの減少による過疎化問題が顕在化しており、僻地での供給問題が表面化しているが、一段と拍車がかかりそうである。
ガソリン需要は、昨年は猛暑に加え、エコカー補助金の支給もあり、微増から横ばいで推移したが、今年に入り、2%~3%減となってきた。昨年、新車の販売は増加したものの省燃車が主流であったためガソリン消費に結びつかず、加えてガソリン価格は、みずほ総合研究所の調査では156円/㍑となっており、高値感から、1回の給油で満タンにせず、買い控えするケースも出始め、減販傾向を強めてきたようである。
ガソリン高が国会でも問題となり、資源エネルギー庁も元売からヒアリングを行なったが、ここにきて値下りをみせているため、価格問題は下火になってきた。むしろ価格下落が懸念される状況となってきた。
SS経営の健全化には、価格競争を自粛して、市況の安定による適正マージンの確保を第一としているが、その前提としては、ガソリンなどの製品需給が安定化することである。元売に対しては高度化による設備処理の期限が来年3月末となっているが、需給安定化のために前倒して設備処理を実施すべきとの要望が出ている。
元売各社の設備処理計画は、ほぼ出揃っており、供給量の調整が進行することになる。高度化法の期限まであと1年とあって、すでに先行して操業を停止しているため、今後、需給バランスが崩れることはないと予想される。
しかし、販売が予想以上の落ち込みとなると価格競争
が再燃するとの懸念も出ている。すでに安値は150円を割って145円~146円も散見されており、現在の仕切価格からみれば採算割れとなっている。値下がりを先取りした値下げ攻勢が出てきたのではと懸念されている。
新年度入り直前であり、販売業者は、新SS戦略の展開を期待しているが、実需要は減少傾向にあることを認識してスタートに臨むべきである。