日刊ニュース

2013.04.09 のニュース

週動向調査は情報センターに-継続実施で指標の役割果たす-

 末端市況の週動向調査は、4月から石油情報センターが実施することとなった。ガソリンの調査価格(1日調査)は、155円/㍑となり、5週続いた156円/㍑の横ばいから1円の値下がりとなった。下落傾向を強めているが、値崩れすることなく維持されていることになる。
 しかし、市況実態をみると、首都圏の街道沿いSSでは150円割れも散見されており、調査価格は高値であるため実態と乖離しているとの見方もある。調査価格は現金価格であるため、カード会員価格など、SS店頭での表示価格に比べると3円程度は高値となっていると捉えるべきであろう。
 この調査は、公募による入札となり、昨年度はみずほ総合研究所が落札、実施していたが、今年度は石油情報センターの実施となる。資源エネルギー庁による委託調査事業として、これまで長期にわたって石油情報センターが実施していたが、調査対象のSS、方法などは変わらず、そのまま踏襲しているため、公平性と継続性は維持されている。
 昨年、みずほ総合研究所に交代した時点では、「石油業界の実態を把握していない調査専門の民間企業が実施するのは調査結果の信頼性に問題があるのではないか」との意見もあったが、入札制度の導入によってコストを削減する国の方針もあり、競争入札でみずほ総合研究所が落札したが、今回は、石油情報センターが取り戻したことになる。
 この調査は、長年にわたって実施されており、末端市況の指標として信頼性が求められることから、調査機関が石油情報センターに代わったことは石油業界としては歓迎している。緊急時での価格の高騰、便乗値上げを監視するための資料として平時から調査されているもので、民主党時代には事業仕分けの対象となった。仕分けの結果、月次の調査は廃止となったが、週調査は継続して実施となったものである。ガソリン、灯油などの価格調査は、総務省、地方自治体、民間企業などが実施しているが、毎週単位で実施しているケースはなく、国会などで石油製品の価格問題が議論になる場面では、この調査価格が参考となる。
 昨年の3月にガソリン価格(調査価格が158円)が高騰した際には、ガソリン税を引き下げるトリガー条項の発動が審議されたが、そのような場合は総務省の調査価格が資料となり、市況の実態を議論する場合は、週動向調査が対象となる。
 因みに、昨年3月のガソリン価格高騰に関するトリガー条項発動の審議では、財源難という問題があったため発動しないことが決定された。そのため高値に対する措置は講じられなかったが、その後はガソリンの調査価格が146円に下落したこともあり、価格問題は解消された。
 しかし、ガソリン、灯油価格は再度値上がりに転じて、今年の2月にはガソリンは156円の高値となった。国会でも議論となったが、その要因は、原油価格の高騰に加えて円安が影響したためで、資源エネ庁も元売各社にヒアリングして、便乗値上げがないよう自粛を要請した。その意味では、現在も価格動向を注視する状況が続いている。灯油も厳冬で増販となり、シーズン入りと同時に値上がりしたが、その指標として週動向調査が対象となった。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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