2013.04.10 のニュース
販売減を見込み減産対応も-予想以上に落ち込めば供給増に-
平成25年度入りとなったが、燃料油販売は、2月~3月が大幅な減少となったことから、4月~6月は販売減を見込み、各社は減産で対応する厳しい見通しとなっている。この間、製油所の定期修理が実施となるため実質減産となるが、その後は定期修理明けで増産となるため、需給バランスを保てるかが焦点となる。
また、需要減を想定して高度化法に則った設備処理が実施されているが、その期限が来年3月末となっている。25年度は、設備処理計画の仕上げの最後の年となるが、その直前に、設備処理分を補うため増産対応となれば供給増となる。今後、夏から秋にかけて需給がバランスを保ち推移できるか注目される。
資源エネルギー庁による需要見通しの策定は、東日本大震災を機に中止しており、生産対応は各社の自主的な判断に委ねられている。昨年度も需要見通しのない状況下、各社の判断で乗り切ったこともあり、今年の4月~6月は減販を見込み、減産で対応している。だが、見通しよりも減販になり、販売攻勢をかける会社が出ると需給バランスが崩れることになる。
25年度の需要見通しは、備蓄法に基づく基準備蓄量を決めるため、算定することになるが、向こう5年間の需要見通しの策定は遅れることになる。新しいエネルギー基本計画策定の議論もこれからであり、さらにそのベースとなる2030年度の長期エネルギー見通しの策定は、かなり先となる。年末までに方向性は決まるが、原発などの扱いを定めたエネルギーミックスとなると、まだ見通しは立っていない。
安倍自民党政権は、原発の扱いについて、新しい安全基準をクリアした場合に再稼働を認める方針を打ち出している。また、原発のシェアをどのような水準にするかを含めたエネルギーミックスの議論、エネルギー基本計画など、前回の民主党政権の方針からゼロベースで見直すことになっている。そのため、総合資源エネルギー調査会総合部会は新メンバーが決まり、第一回を3月に開催しており今後は月一回の開催となる。だが、夏には参議院選挙が行われるため政策絡みとなり、原発問題の議論は先送りとなる公算が強く、慎重な審議となりそうである。民主党時代の審議は短期間であったが33回も開催されており、脱原発問題は一巡しているため、参院選の結果、自民党が勝利すれば、流れは大きく変わることとなる。
一方、足元の経済政策ではアベノミクス効果により景気回復が期待されている。だが、石油製品の需要は軽油が復興需要で小幅な回復が見込まれるものの、原発再稼働のための新安全基準が決まったことで、火力発電へのシフトによって増加していたC重油販売は減少へと転換するようである。また、ガソリン、灯油など各油種も減販見込みとなる。
景気動向では株価が上昇、為替は円安が進行しており、輸出産業にとっては明るい見通しとなっているが、石油製品の需要増には繋がらず、減少傾向が続く見通しである。景気回復によって、減少幅が縮小していくことが期待されるが、需要減が今後も続くことになると、来年3月で完了する設備処理にとどまらず、第2弾の設備処理計画へと発展する可能性が出てくる。