2013.04.11 のニュース
円安SS不況に配慮と支援を
11月上旬まで、為替は1㌦80円を割る円高が中心軸だったが、それから5ヵ月間、ほぼ一貫して円安ドル高が進んで、2009年4月中旬以来の1㌦100円時代が到来しようとしている。しかも、先週水曜からの東京外国為替市場は、3日=93・04円、4日=96・33円、5日=97・52円、8日=99・35円と、1日で3円を超える円安に振れるなど、3営業日で6円を超える円安が一気に生じた。
遡ると、足かけ5ヵ月で25%もの円安が生じている計算だが、これがそのまま原油コスト高となったことを意味する。原油が105㌦だとすると、㍑13円の値上がり要因となる。ほぼ全量輸入で年2億㌔㍑の原油市場である日本では、年2兆6千億円のコスト負担が増えることになる。先週水曜からの4営業日の為替の値動きでは、原油は㍑4・3円の値上がりとなり、これだけで8600億円の原油コスト負担の増加に見舞われたことになる。
このコスト高に対して、日本全体が値上げを躊躇したり、上げ幅を圧縮しようとすると、どうなるか。その答えは亡国である。
貿易収支として、日本から産油国へ年2兆6千億円相当のドルが、1㌦80円時代よりも多く移転する。その支払い当事者は、石油元売などの民間企業だ。国内石油シェア10%の元売に例えると、原油代として2600億円多く支払う必要があるが、大きくかつ急激な原油高は、回収サイトの関係で、元売の手元流動性を著しく損なうこととなるから、コスト高騰部分を圧縮できる可能性はゼロだ。ここで間違いを犯せば、企業の生命力を削ることになる。
この急激な円安で、ほぼ製品輸入ウインドウは閉ざされている。したがって、業転に依存するPBを含め、SS個々の集合体が元売と言うことができる。あくまでSS企業ごとの判断であるが、急激な円安によるコスト高の小売転嫁について、上げ幅を圧縮すると、それは亡国の後押しをすることと同義だと心掛けたい。 今回の超高速の円安は、その起点は間違いなく政策誘導である。円安によるコスト高で、大きなダメージを被る事業体について、十分な配慮と支援をすべきだろう。配慮とは、官公需を含めた完全転嫁のしやすい環境作りだ。支援とは、高価格が出現・持続することで、ますます節約指向が高まる家計に向けての高速1千円復活などの施策である。