日刊ニュース

2013.04.15 のニュース

新たなSSビジネスモデルを-ガソリン販売は減少が定着-

今年に入り、ガソリン販売は減少が目立っており、販売業者には減販を前提としたSS経営が求められている。減販傾向は以前から続いているが、昨年は横ばいで推移したため一息ついた形となった。だが、減販傾向は今後も続くこととなる。
石油統計でみると、昨年12月が前年同月比で2・3%減、今年1月が2・7%減、2月が6・7%の大幅減(前年が閏年で1日多い)、3月も3%減が見込まれており、4月に入ってからも減販が続いている。昨年は微増か横ばいで推移したが、ここにきて減販が定着してきた。
ガソリンの販売数量の減少に合わせるように、SSも減少している。消防法の規制強化により、老朽化したSSの地下タンクの補強が義務付けられ、その期限が来年3月末となっている。該当するSSが約4000SSあり、うち2000SSが補強して経営を続けるが、残り2000SSは廃業するのではないかとみられている。通常ベースでも年間で約2000SSが減少しているため、これに加算されて大幅に減少することとなる。
ここでSSの減少は峠を越えて、残ったSSはガソリンの販売数量を分け合い安定するとの楽観的な見方もあるが、減販傾向が続くなかでSS経営が改善できると期待するのは甘い見通しとなりそうである。ガソリンの減販は、省燃費車の普及、人口の減少、節約の浸透などマイナス材料が多く、増販の要因は見当たらない。そのため、新たなSSのビジネスモデルを確立する必要がある。
EV(電気自動車)の普及は、SS業界が大きく変化する影響を与える要因となる。それでは、EV時代の到来はいつになるのか。以前は石油ショック後にEVの試走車が登場したが、問題点が数多くあり普及せずに消えた。だが、CO2削減など環境への対応が求められる時代となり、市販化されるまでに至っている。このままEVが本格的に普及するのは難しいとみられているが、政府は、EVの普及支援策として、今年度予算で充電器設置のための補助に1005億円を計上している。EV、PHVに必要な充電インフラの整備を加速すると同時に次世代自動車の普及を促進する。また、EVの購入に対しても443億円(前年度は292億円)の補助金を支給するなど支援策を打ち出している。地方自治体も別途補助を支給しているが、走行距離が短いことと、EV車両自体が割高であることから、本格的な普及には時間がかかりそうである。
現状では、ガソリン、軽油車の方がコスト面で優位であると石油業界ではみている。一時は、EV時代が一気に到来すると予測され、販売業界もEVの普及を前提に次世代SSで対応することを検討していたが、普及には時間がかかるとみて先送りとなっている。EVが本格普及となれば、現在のSSの形態では電気の充填が主な仕事となり、タイヤ販売、洗車、整備を行なっても経営が立ち行かなくなる。当面はガソリン車の時代が続くとみられるが、小型の省燃費車が増加して、大型のハイオク車が減少する傾向はますます強まり、高付加価値販売は減少、SS経営は厳しくなる。こうした状況に対応していくためには、減販を前提とした新しいSSのビジネスモデルの確立が求められる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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