日刊ニュース

2013.04.17 のニュース

石油化学、石油開発にシフトも-コアの石油事業での安定利益を確保ヘ

 石油各社は、向こう3年~5年後を目標とし中期計画を策定した。各社別の経常利益でみるとJXホールディングスは4200億円が目標となり、事業別ではエネルギー事業が1550億円(石油1550億円、石油化学1000億円)、石油・天然ガス開発が1100億円、金属が1300億円となっている。出光興産は1500億円(営業利益)が目標となり、うち基盤事業で640億円(燃料油、化学品など)、資源事業(石油開発、石炭)で540億円、高機能材事業で360億円となっている。コスモ石油は1120億円(2017年度)が目標で、うち石油精製販売事業が180億円、石油開発事業が775億円、石油化学が100億円、再生可能エネルギーが65億円となっており、石油開発事業が775億円とウェイトが高い。東燃ゼネラル石油は、2015年の営業利益は700億円、2017年は800億円~1000億円を見込んでいる。昭和シェル石油は数値を示さず、石油事業では「国内ナンバーワンの収益体質に強化する」ことを目標に掲げている。
 各社ともコア事業である石油精製販売事業は、国内需要の減少が見込まれているため、海外で石油化学、石油開発、潤滑油事業などを展開することで収益増を図るとしている。国内では、電力事業、再生可能エネルギーの水力、太陽光発電などを展開することで、石油事業のウェイトを抑えて非石油とのバランスを保つことにしている。とくに、石油開発、石油化学での収益増を狙っているが、石油開発は原油価格が値上がりすれば増益となるがリスクが伴い、石油化学は韓国との共同事業を展開する計画が多いため、海外市況に大きく影響する不透明な分野となる。
 そのため基盤となる石油事業の役割が重要となる。利益率は小さいが巨額となるため収益の柱となる。今回の中期計画では、原油価格(ドバイ)を110㌦/バーレル、為替は90円/㌦の相場が前提条件として採用されている。2012年度の見通しでは、原油価格が109㌦、為替が81円であることに比べると円建てベースでは高水準となっている。為替は今年に入ってから円安が急進しており、ここにきて98円~99円で推移している。中期計画を策定している時期に円安の進行、原油価格の上昇となったことから。高い数字が前提とされた。利益目標は在庫評価影響を除いた数字で増益となっており、とくに石油化学、石油開発事業は増益が見込まれている。だが、石油各社の業績は原油価格、為替に大きく影響されるため、この前提よりも原油価格が値下がり、円高になると減益となる。逆に原油価格が値上がりすれば、石油開発は増益となる。
 原油価格の見通しは、アメリカでのシェールガス開発の影響が挙げられている。天然ガス、石炭価格が下落しており、いずれは原油価格も下落するとみられている。一方、中東の地政学リスクから原油価格は依然として高値で推移、金融商品として値動きするため予測は難しい。
 いずれにしても当面は石油精製事業で利益を確保することになる。だが、石油需要の減少に対応した高度化法による設備理計画が来年3月末に期限となるため、これが着実に実施され需給バランスが調整されることが課題となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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