日刊ニュース

2013.04.19 のニュース

原油価格の急落を警戒-高値在庫と市況下落で業績悪化-

 原油価格は15日に急落、16日は小反発した。WTIは90㌦/バーレルを割って88㌦に、ドバイが100㌦を割って98㌦に下落した。アメリカでの株価、金相場の下落に連動した下落だが、翌日のボストンマラソンでのテロ事件の影響は少なく、株価は反発した。しかし、原油価格の動向は、このまま下落が続くか不透明である。昨年は4月から急落した経緯もあり、その再来を懸念する見方も出ている。
 原油価格の動向をドバイでみると、1月が平均108㌦/バーレル(為替が90円/㌦)、2月が111㌦(94円)、3月が106㌦(96円)となり、4月初めには104㌦~105㌦と緩やかな下落傾向にあったが、今回の急落となった。一方、この期間の為替は90円から96円へと円安が進行しており、その後99円となったが100円に至らず、ここにきて98円と円高に振れている。
 原油価格の下落を円安で相殺する形となっており、結果的には円建てベースの原油価格は横ばいとなるため、仕切価格も据え置きが続いている。だだ、原油のCIF価格でみると、3月の中旬では116㌦、為替が93円となり、円建てでは6万8000円/㌔㍑となり、2月に比べると3000円の値上がりとなっている。3月の原油CIF価格は、輸入によるタイムラグが生じて、値上がりした2月の原油価格=111㌦が対象となるため高値となっている。
 一方、足元の国内の製品価格は、値下がりしており、東京商品取引所の先物市況は、海外の原油下落に連動して原油価格は6万2000円/㌔㍑と下落している。同様に灯油は6万8000円、ガソリンは7万2000円に急落している。
 コスト面でみれば、現在、処理している原油は3月輸入の6万8000円という高値であり、国内の灯油相場(先物)の6万8000円と同価となっているため、マージンはゼロとなり赤字となる。これは輸入のタイムラグによるもので、原油価格の急落に国内市況が連動して値下がりした場合に生じることになる。逆に原油価格が急騰すると、国内市況が値上がりするためマージンが増加する。このように原油価格の変動により、手持ち在庫の原油元値と足元の国内市況との時間差の関係で、マージンが大幅に変動する。これは大量の原油在庫を持つ石油業界の特長であり、原油価格の変動が業績に大きく影響する。この経理処理が続く限り、原油価格の影響から逃れることのできない問題点である。
 平成24年度の石油各社の業績をみると、原油価格(ドバイ)が4月に120㌦であったものが6月では90㌦に急落、9月には110㌦に戻したが、大幅な減益、実質赤字となった。下期は原油価格が110㌦台を維持したことから為替評価益が発生して黒字に転換、通期では上期の赤字を挽回して黒字となる見通しとなっている。
 25年度に入ったが、4月から原油価格が下落しており、前年と同じパターンになるのではないかとの見方も出ている。原油価格、為替の見通しは難しいが、①中国、インドの経済成長が伸び悩んできた、②欧州の財政、金融危機が払拭されていない、③アメリカのシェールガスの増産から石炭、ガス価格が下落しているなど、原油価格の下落に影響する要因が出揃っており、石油業界では警戒感を強めている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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