日刊ニュース

2013.04.22 のニュース

総合エネ調が審議開始-現実的なエネルギー政策を期待-

 総合資源エネルギー調査総合部会は23日に2回目を開催、エネルギー基本計画の策定に向けて本格的な審議を開始する。自民党政権発足を機に委員の入れ替えを行ない、反原発の委員は少なくなり、中立・推進派の委員が多い構成となっている。第一回(3月15日)は、各委員からの意見を聴き、審議の進行方針を決定した。
 審議は「生産」(調達)、「流通」、「消費」を切り口に、各段階毎に問題点・対策を審議して、新しいエネルギー基本計画策定のため、年内には一定のとりまとめを行なうことになる。
 生産(調達)では、①再生可能エネルギーの最大限導入、②風力、地熱発電の設置、③安全性が確保された原発の活用。④石炭、LNG発電の導入、⑤メタンバイドレートなどの国内開発の推進、⑥低廉なLNGの確保などが挙げられている。
 論点としては、①原発依存度は低下するが、再稼働を認めるための安全基準がどう決まるか見定めての対応策、②原発の減少に伴う代替燃料である石油、LNG、石炭の供給確保策をどうするか、③これら燃料輪入の増大に伴う調達コスト増による貿易赤字をどのように解消するか、④シェールガス革命を背景にした廉価なガス調達の方策など、具体的な政策提言を行なう。
 石油業界はサプライチェーンの維持強化、石油開発業界は探鉱、開発を推進するための対策を求めることになるが、民主党時代に比べれば、具体的な対策が打ち出されると期待している。
 民主党時代のエネルギー政策の審議は原発問題に終始したため、現実的なエネルギー政策の議論がなかったことに比べると、大きく前進することになる。前回のエネルギー政策としては、最終的に「2030年代に原発ゼロを目指す」との政府方針(革新的エネルギー・環境戦略)を、昨年9月14日に決めた。その土台となる「原発ゼロ」、「原発15%」の依存度の方針を決めたことでは、総合エネ調が寄与したことになる。だが、この政府案が先行して決定されたものの、党内で反発が出たため閣議決定されずに混迷したことにより、総合エネ調の審識は中断した。
 政府案は、原発に依存しない社会を目指すが、①原子が規制委員会の安全確認を得たものは再稼働を認める、②原発の新規・増設は行なわない、③核燃料サイクル処理事業は引続き取り組むとしており、結果的には、原発再稼働を認めることになっている。そのため原発反対派が「原発ゼロの政府方針と矛盾する。このまま原発を再稼働すべきでない」と反発した。だが、電力逼迫への対応として大飯原発が再稼動となったことで、原発政策は混迷を深めた。
 そのためエネルギー基本計画は策定されず、解散、総選挙で自民党に政権が交代したことで、エネルギー政策は白紙撤回となった。民主党時代は、現行のエネルギー基本計画をゼロベースで見直すとして審議に入り、最終案が策定される段階で審議中断となったが、自民党は民主党案を白紙で見直す方針で臨んでいる。原発政策では、自民党は原発を容認しており、新しい安全基準が制定され、その基準をクリアしたものは再稼動を認める方針を打ち出しているため、原発政策の審議では対立する場面はなくなりそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE