2013.04.22 のニュース
悲観に覆われる徴税マシーン
国内の多くの法人が決算を迎えた3月末。この1年間で、日経平均株価は1万円ちょうどから1万2500円へ25%上昇、為替は1㌦82・79円から94・19円へ14%の円安ドル高となった。この変化が、好景気の背景だ。景気が浮揚したという実感は、一時金の満額回答を先行させた輸出型産業の関係者にはみなぎっているかも知れないが、多くの業界と個人には、まだ縁遠いように映る。また、浮揚感を示すこうした先行指標についても、精査してみると、株価は6月に8300円割れ、つまり17%の下落を記録しているし、為替も9月に77・58円と6%の円高を記録している。年度当初よりも、より深刻かつ悲観的な空気が充満していた時期が確かにあった。
一方、SSを取り巻く環境は、ドル建ての中東産原油は119㌦から107㌦へ10%割安になったが、円建てでは㍑62・04円から64・03円へ3%割高になった。ガソリン小売は全国平均157・6円(消費税別150・1円)から155・5円(148・1円)へと1%強も値下がりしている。国内経済の浮揚感をよそに、原油が2円上がってガソリンが2円下がるという、だれにでもわかる採算悪化、不況感がより深まった構図で12年度が閉幕した。
12年度は、だれでも身を引き締めざるを得なかった大震災直後の緊張感が薄れていった。長引いた不況感と高値ガソリンによる節約指向が台頭した。エコカー普及によって数量の不振が続いた。円高時代には韓国産ガソリン、円安に転換してからは国内元売ガソリンが、それぞれ業転と化して一部の大規模PB店に大量かつ廉価で流れ、系列SSの収益と数量を奪い取っていった。
不況感が永年持続しそうな国内石油関係で唯一、潤ったのが政府・行政であろう。10月増税で石油石炭税は5100億円から5500億円規模へ、年度の平均小売価格が高値だったことで、ガソリンや灯軽油に課せられた消費税収も増収だっただろう。田畑は荒れる一方でも税収はきっちりと得る。こうした構図の中から、ガソリン需要を喚起し、広く地方経済やそこでの生活者にとっての朗報でもある高速1千円実現を求めることは無茶な話の類だろうか。
我々は逆風一辺倒の国内石油販売という現業部門へ、政府による追い風がほしいのだ。高速1千円復活をあきらめない。