2013.04.25 のニュース
系列SSの声は響いているか
全国各地で過当競争の拡大による経営危機を訴える声が相次ぐ中、ゴールデンウィークに入る。価格訴求商法による乱売激化が懸念される時期だが、よもやその余地もなかろう。激戦地はすでに先取り値下げが蔓延している。国内最大マーケットの関東エリアは、非系列SSや元売販社などの販売価格に対して「市場崩壊危機」との警鐘を打ち鳴らした。
「量」か「質」か。最近、このフレーズをあまり聞かなくなった。問うまでもないのか、空疎な答えに声を失っていたのか。構造的な減販基調が続く中で強引に量に走れば、追いつ追われつのライバルが次々と現れる。低価格指向の強いユーザーはより低きに流れやすく、体力勝負の消耗戦に突入する。量販店同士のマッチプレーで決着がつくなら、これほど深刻な事態には陥らなかったであろうが、採販重視の周辺SSまでもが否応なく巻き込まれることに、多くの販売業者が大迷惑を被っている。もはや限界、との不満が噴出している。
昨年12月末時点で、系列SS数は2・7万ヵ所と、94年度末のピーク比で半減した。3年前と比べても1割強の減少。その間のガソリン減販率は2%弱程度のようだから、元売から見れば流通効率が良化したということになるのだろうか。他方、プライベート・ブランドSSの増勢が続いており、エネルギー商社などを介した非系列取引は拡大していると映る。一部を除いた系列SSの足を引っ張り、自立経営の足元を揺さぶり、ときには篩(ふるい)にかけるような態度で臨み、地域に不可欠なインフラとして残すべき、きめ細かなSS網に大きな穴を空けようとしているのでは…。系列不信は高まるばかりだ。
系列業転格差、差別対価、商標権、いわゆるブランド料。これらの問題や課題が絡み合い、大勢の系列SSが不合理・不公正に市場競争力を奪われているとすれば、なんとしてもこれを正す必要がある。全石連は元売首脳を歴訪し、系列業転格差の解消、販社SSに対する率先垂範の指導、卸価格決定方式の見直し、系列SSの存在意義などを質した。この動きに対しては、早い段階から支持表明が多数寄せられたが、回答を評価する声はまだ伝わってこない。成果が伴わなければ、理解は得られない。各元売は「石油の力」を堅守するためにも、まずは市場崩壊を回避する手立てを尽くしてほしい。