日刊ニュース

2013.04.26 のニュース

SSと水素ステーション併設-燃料電池車の普及を先取り-

 JX日鉱日石エネルギーは、神奈川県海老名市の「ENEOSサービスステーションDr・Drive海老名中央店」に、日本で初めて、SS内で燃料電池自動車(FCV)に水素充填を行なうことができる水素ステーションを建設、19日から運用を開始した。この海老名SSは、車の整備点検サービスができる大型セルフSSであり、同じ敷地内で水素充填を行なうことができるようになった。
 水素供給の方法は、製油所などで生産された水素をトレーラーで輸送しステーションでボンベに貯蔵、販売(充填)するオフサイト方式を採用している。供給設備もローコストなパッケージ型設備となっている。
 これまで水素は、高圧で危険なため法規制からSSでの水素充填施設の併設が認められず、水素ステーションは単独での設置となっていた。今回、新しい安全基準の策定、規制の見直しが行なわれ、SSでの併設が認められたもので、規制緩和後の1号店である。規制の見直しのために新しい技術開発などの検討を進めていたが、新基準が整備されたことからSSでの併設が可能となったため、今後は併設水素ステーションが増加するものとみられる。JXエネルギーでは、5月に名古屋市に同様の「神の倉水素ステーション」を2号店として開所する。
 この水素ステーションの設置は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と水素供給・利用技術研究組合(HySUT=元売各社が加盟)の共同研究「JHFG」(経産省が実施する水素・燃料電池実証プロジェクト)の一環として実施しているもので、2015年にFCVが市販されることを見込み、4大都市圏の100ヵ所に水素ステーションを設地する計画となっている。現在、16ヵ所が運営されているが、近く豊田、名古屋市の2ヵ所の運営が開始される。
 水素ステーションの設置は、FCVの普及を先取りしたものであるが、どこまでコストダウンが図られるかがカギとなる。同様に電気自動車(EV)の普及、実用化が見込まれており、販売業界は、これら次世代自動車の普及に注目し、供給拠点としての次世代SSのあり方を検討している。だが、水素ステーションについては、設備投資が5億円~6億円と高額となるため、販売業者が参入するには障壁が高い。
 EVも注目されるが、走行距離が短いという問題点の克服がカギとなるため、当面は本格普及に至らず、しばらく時間がかかるとみられる。SSに充電器を設置する設備投資の負担はそれほど高額とはならないが、電気の充填では経営が成り立たず、次世代SSとしてEVを対象にした経営は不可能とみている。
 これら次世代自動車の普及は進むが、現在のガソリン車、軽油車がなくなるわけではなく、販売業者は燃料油販売を主軸としてSS経営に取り組んでいる。しかし、次世代自動車の普及を見据えた新しいSS経営のあり方は、常に検討すべきである。
 政府は経済成長のための技術革新と、それに伴う環境対策を最優先としており、政策のひとつとして水素社会を目指している。そのための予算を計上しており、普及、促進を図っているため、近い将来、水素社会時代が到来しそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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