日刊ニュース

2013.04.30 のニュース

水素併給SS像の誕生と期待

 新しいSS像が誕生した。JXが開所した日本初のガソリン・水素併給ステーションは、次世代エネルギーの提供モデルを社会に提示した。エネルギー供給者であるSS業にとって、CNGステーション、EVステーションに続く新たな一歩を踏み出すものとなるが、商売としてガソリン小売業と並立し得るポテンシャルと期待は、従来に増して大きい。
 これを機に、エネルギー問題の解決等に取り組む日本最大の技術開発推進機関と称する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、JXほか出光、コスモ、昭和シェル、トヨタ、日産、ホンダなど19社・団体で組織する水素供給・利用技術研究組合(HySUT)による共同実証事業の一環として、水素ビジネスの事業化に向けた成果獲得が待望される。とりわけ石油販売業者にとっては、水素SSの設置及び運営費用のコストダウンをなんとしても実現してほしい。燃料電池車(FCV)の販売価格は500万円程度とも報じられるところまで下がってきた。EVリーフは300~400万円程度の価格帯だ。
 FCVの普及に向けては、2015年を起点に1000台レベルでスタート、そのために水素インフラを4大都市圏中心に100ヵ所程度先行整備する方針の共同声明が出されており、本格普及を目指す25年には200万台、1000ヵ所程度のシナリオを描いている。現状4~5億円とされる建設費用を2億円以下とすることで本格普及期に備える計画だが、販売業者自らが水素供給に積極関与するためには、一層の低コスト化が不可避だ。設備面・規制面等々、これからの議論は参入ハードルに大きく影響するであろうから注視しなければならないし、意見提起が必要となるかもしれない。
 今後予測される水素SSの運営者は、業界内部の既存プレーヤーとは限らない。現に日産は、ディーラー販売店への超小型ステーション設置イメージを提示している。自販連加盟1300社の販売拠点数は1・5万店。点検整備やサービス部門の強化を図る中で、囲い込みを考えればFCVへの燃料供給も検討するであろうことは想像に難くない。だが、我々にはなによりもエネルギー供給者として、地域社会の一員として、お客様にご利用いただいてきた土台がある。基礎固めのためにも、適正利益の確保と情報収集に努め、来たるべき時代に備えたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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