2013.05.09 のニュース
ガソリン、C重油が減販強める-減産対応による需給調整がカギ-
経済産業省発表の石油統計速報によると、平成24年度の燃料油販売数量は1億9752万キロリットルで前年比で0.8%の微増となった。油種別でみると軽油が1.7%、C重油16.8%増となったが、ガソリンは1.3%減、灯油は3.2%、A重油は6.3%の各減少となった。
東日本大震災以降、電力用C重油が大幅増販となり、他油種のマイナス分をカバーすることで燃料油全体でプラスとなるパターンが続いていたが、今年2月、3月では電力用C重油の増販が一巡したこともあり、減販へと転換し、燃料油全体ではマイナスとなった。
今年3月の燃料油販売は6.5%減となっている。ジェット燃料油、ナフサは増販となったが、ガソリンは4.5%減、灯油が22.4%減、C重油は19.5%減と軒並みマイナスとなっている。とくに電力10社の重油の受入は、131万キロリットルで前年比で9%減、原油は87万キロリットルで32%の大幅減となっている。このように、電力用C重油の販売が大幅な減少となっており、ガソリンも減少傾向が強まっていることで、この2油種の減販が目立ってきた。
この減販を受けて、需給調整が課題となってくるが、電力用C重油については、震災後の増販分をこれまで増産ではなく輸入増で対応していたため、海外からの輸入を減少させることで対応することが可能である。しかし、ガソリンについては減産で対応することになる。ガソリンは輸入量での調整ができないため、減産しなければ供給増となる。元売各社は2%~3%の減販を想定しており、それに基づき生産計画を立てているが、想定以上の大幅な減少となった場合、さらなる減産が求められ、需給調整が困難となる。
ガソリンの減販傾向に対して、全石連では高速道路料金の引き下げを要望して、ガソリン需要の回復を狙う運動を展開することにしている。高速道路の料金を引き下げれば、自動車の利用が増加してガソリン増販に結びつくが、税収減となるため財務省の了承を得られる可能性は低い。民主党政権時代に高速道路料金の引き下げを行なったが、財源不足を理由に停止した経緯もあり、実現は難しいとみられている。
ガソリンの減販は、販売価格が値上がりしたためユーザーが買い控えしたことが要因とされているが、基調としては、省燃費車の普及や若者のクルマ離れ、人口の減少など、構造的な問題であり、今後、EV、燃料電池車が普及することになれば、さらに減販が続くことになる。
短期的には、景気回復による個人所得の増加に伴い、自動車の利用増での増販を期待することになるが、基調としては、需要増加は見込まれない。このような状況下、販売業者、元売各社には需要減少への対応が求められることになるが、需要見通しが示されなければ、販売、生産計画は正確なものとはならない。例年策定されていた経産省による向こう5年間の石油製品の需要見通しは、震災後は策定されていない。これはエネルギー長期需要見通しの策定が政治混乱で遅れていたためであり、平成25年度の需要見通しも、いつ策定されるか分からないという状況である。そのため、各社が自主的な生産計画で対応しているが、実需に見合った生産が望まれる。