2013.05.09 のニュース
140円ガソリン表示の意味
SS店頭のガソリン「140円」表示について、税制改正が実現する姿を考えてみよう。
まず消費税5%=7円を差し引くと、7円を除すから「133円」になる。この7円の消費税のうち、石油石炭税(2・29円)とガソリン税(53・8円)にタックス・オン・タックスされた消費税に相当するのが2・8045円となる。したがって、タックス・オン・タックスが完全解消されると、店頭140円表示は約「137・2円」に下方修正の余地ができる。
ガソリン税のうち、ドライバーの負担軽減という観点から、全石連・油政連が求めている旧・暫定=現・当分の間税率(25・1円)の廃止が実現され、本則の基本税率のみとなると、店頭140円表示は約「113・6円」に下方修正する余地ができる。タックス・オン・タックス解消と旧・暫定税率廃止の2つが同時に完全実現すると、140円表示は約「112・1円」表示に下がる余地ができてくる。
「140円」表示について、その不公正・不透明さを見てみよう。
消費税別「133円」となる内訳は、石油石炭税とガソリン税を差し引くと76・91円、約「77円」になる。4月下旬の中東産原油FOB(発地価格)は円建てで㍑約63円平均となるから、日本国オール石油産業の付加価値は、わずか「14円」だ。この絶望的に少額な付加価値で、タンカー・精製・元売・物流・SSの全インフラと経営資源が、安全かつ安定して機能させることができるのだろうか。
ガソリン商戦最盛期の1つであったゴールデンウィークの最中に、某ウエブサイト上には、134円を底値に130円台のガソリン小売価格が、全国13道県の42SSで実現されていた。県別では千葉15SS、三重9SSが東西の横綱、北海道と福島が各4SS。系列ではPBが可搬を大きく超える25SSに達し、EMG6、三井5、JA2、JX、昭シ、コスモ、太陽が各1SSだ。
これらのSSは、精販併せた総粗利が13円に満たないレベルでの商売を実行し、日本のSS経営を、より薄利へ、薄利へと誘導している。関係する元売と商社など卸元も、数量の魔力に屈している構図だ。連休明けの中東緊迫化によって、原油急騰などコスト高シグナルが顕在化している。それでも、こうした底抜け市況を放置する情けない構図だ。