2013.05.13 のニュース
下落局面で販売価格差が拡大-仕切値と業転との格差も問題に-
ガソリン市況は下落局面となると、業転市況と系列仕切価格との価格差問題が浮上してくる。同時に都市部と郊外部との価格差の拡大も指摘されている。石油情報センターの市況調査では、全国平均で153円/リットルとなり、9週間連続の下落局面となった。累計では3円の値下がりとなっている。
まず先行して業転市況が値下がりして、その後に仕切価格が値下がりする。そのため業転玉を購入しているHCが値下げに踏み切った場合、その後に量販店、周辺SSが追随することで市況が下落して、さらに都市部に波及するパターンが繰り返されている。4月下旬から仕切価格が連続して値下がりしたため、末端市況は連休の前半で一気に3円~4円の値下がりとなった。
末端市況はHC、量販店がプライスリーダーの役割を果たしており、安値は140円割れも散見される。このため街道沿いは150円の維持が精一杯であり、現在の価格差は10円以上となっている。140円の販売価格は、系列仕切価格が135円とした場合、消費税を加算すると142円となるため利益はマイナスとなる。つまり、業転玉は系列仕切価格よりも安く仕入れられており、ここに価格差が生じている。このことから、系列販売業者は、仕切価格を業転市況と同等に引き下げるべきであると訴えている。
仕切価格が割高となったのは、価格改定方式が新体系に移行した時点でブランド料を加算した結果であり、石商などの調査でも業転市況に比べて4円~5円高となっている。販売業者は自衛のため、安い業転玉を購入することで対応する方策をとりたいところであるが、系列マーク(標商権)の下での販売では特約店契約の関係上、割高な仕切価格で購入せざるを得ない。
この価格差問題は、公正取引委員会に申告しているが、これまで違反行為にあたらないとの見解が示され
ている。引き続き、公取委によるSSの実態調査が実施されており、調査結果によって業転市況と系列仕切価格の価格差が証明されることが予想されるが、その後、元売に対して指導が打ち出されるか否かが焦点となる。前回の調査でも、価格差を容認したことで終わっており、対応によっては調査の意義が問われることとなる。
HCや量販店などは、5円安い業転玉を購入して、販売価格もマージン5円の加算のみで経営が成り立つビジネスモデルを形成している。一般のフルサービスSSでは、最低マージンは10円~12円が必要であるとされており、その差5円~7円に加え、さらに仕入れ段階で5円の価格差があるため、合計すると10円以上の価格差となり、その差が販売価格に反映されることとなる。
ユーザーは販売価格に敏感になっているため、10円以上の価格差となると、遠方に出向いてまで給油するケースが増加しており、ますますHCなどが優位となる。これら薄利多売の商法に対して、フルサービスSSの特長を活かした「地域密着型のサービス」、「ユーザーに選ばれるSSづくり」、「車検、整備などのサービスの充実」などの戦略を打ち出すことで対抗しているが、現状ではHCや量販店が優位となっており、この状況が定着している。