日刊ニュース

2013.05.14 のニュース

3月期決算は減益も予想通り -4月~6月の赤字を原油高、円安で挽回-

 出光興産とJXホールディングスの3月決算が発表された。出光の連結営業利益は1017億円(在庫評価益除きでは846億円)で20%減(19%減、経常利益では1091億円で19%減。JXHDは3283億円(在庫益除きでは2710億円)で前年比20%減(7%減)となった。
 スタートの4月~6月で原油価格が急落して石油事業は赤字となり、先行きが懸念されたが、その後、原油価格が上昇、為替も円安に転じたため、前年に比べ減益ではあるが業績は回復、在庫評価益も発生した。石油業界の業績は、原油価格、為替の動向次第で大きく影響することが実証された。下期での原油高、円安によって、利益確保をフォローする風が吹いたことになる。
 出光のセグメント別でみると、石油製品の営業利益は720億円(在庫影響除きでは478億円)となり145億円の減益(49億円減)となった。石油製品のマージン減少に加え、上期に原油価格の下落で在庫評価益が減少したため減益となった。石油化学は171億円で43億円の増益、石油開発は256億円で23億円の減益となっている。
 JXHDのセグメント別でみると、エネルギー事業の経常利益は1616億円で700億円の減益、在庫影響除きでは1028億円(在庫評価格益が588億円)で100億円の減益となった。うち石油製品はマージン減、製油所の停止などが影響して561億円(185億円の減益)、石油化学は市況が回復して467億円(85億円の増益)となった。また、石油・天然ガス開発は936億円で39億円の減益となった。原油・ガスの販売量が11万7000バーレル/日の減少となったが高収益を確保している。
 2012年度は、原油価格が4月~6月で下落したが、その後上昇、さらに為替が円安に転じたことによって在庫評価益が発生した。だが、原油CIF価格と販売価格との間にタイムラグによる価格差が生じたことで、マージン幅は減少している。これは、原油価格の変動に市況は連動しているが、原油CIF価格は日本到着時の価格となるため、実勢よりも1ヵ月程度遅れることによる。
 原油価格(ドバイ)の推移をみると、期初は120ドル/バーレルを超えたが、世界景気の不安から6月には90ドルを割り込む急落の状況となった。その後は値上がりに転じ、8月以降には110ドル前後の高値で推移した。2月は平均で111ドル、3月は106ドルとなった。また、為替は昨年10月の78円/ドルの円高から、安部政権の発足で円安が進行、3月は96円となった。2012年度の平均では84円で前年比4円の円安。原油価格は107ドルで前年比で3ドルの値下がりとなった。
 2013年度の見通しは原油価格は105ドル、為替は95円を前提に、出光は営業利益790億円で前年比317億円の減益、在庫影響を除き660億円で186億円の減益を見込んでいる。セグメント別では石油製品が590億円、石油化学が150億円、石油開発が135億円と予想している。JXHDは経常利益3350億円で横ばい、セグメント別ではエネルギー事業1700億円、在庫影響を除き1350億円、うち石油製品570億円、石油化学780億円。石油天然ガス開発では850億円を見込んでいる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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