日刊ニュース

2013.05.14 のニュース

機動的な製品輸出という選択

 昨年12月中旬までは、割高な国内製に対して、輸入品が競争力を有し、その流入を防ぐことはできなかった。しかしそれ以降は、今日に至るまで、為替の急激な円安・ドル高・ウオン高によって、日本製の価格競争力が急回復し、経済合理性の観点からは、輸入品の脅威は遠くに霞んで、海外市場へ打って出ることも十分に可能になった。
 クルマがそうであろうし、太陽光発電パネルもそうかもしれない。TPPで輸入の脅威に脅える農産品でも、高付加価値・高品位な産物の一部ではそれは可能だろう。そしてガソリンでも、それは十分に可能になっているのだ。
 ガソリンの数字を月間平均で見ると、為替TTSが1㌦84円台だった12月までは㍑1・5円ほど海外が割安だったが、90円になった1月は1・7円の国内安に転じ、94円台の2月は実に5・4円、96円に迫った3月も1・4円、98円に迫った4月は0・7円、99円台の5月の近況も1・1円の連続国内安が生じている。これはアジア市況と国内3地区海上平均との格差であるが、内需不振に陥った国内では、1月0・8円、2月1・5円、3月1・4円の海上高・陸上安という逆転現象が生じていたから、陸上出荷・SS渡しに対する海外の高採算性はさらに良化したはずだ。
 そのころ国内では、量販PBが実現する低価格によって、地場の系列SSが困難を極めていた。同じ純正品として国内製油所で誕生したガソリンの中から、別ルートをたどって、そうした量販PBの地下タンクへと納まったガソリンが、低価格で売り上げを大きく伸ばし、正規ルートの系列SSのガソリンが低迷するという構図であろう。ここに内需不振が重なり、別ルートへの供給圧力は強まるばかり、正規ルートは細るばかりという悪循環だ。
 結果として、正規ルートが細る一方になれば、中長期的に見て、元売の収益もしぼみ始めるだろう。石油の国内サプライチェーンでは、少量・過疎地向けはコスト高の連鎖に陥るだろう。
 3月、4月と製品輸出は大型化したが、この規模を1月から実行できれば、これほど怨嗟に満ちた系列SSの声を聞かずに済んだはずだ。量販PBを肥え太らせる一方のガソリン供給余力は、即座に海外へ振り向ける。こうした機動力を有する設備投資こそ、系列SSの助けになる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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