2013.05.15 のニュース
石油原油高、円安で好決算2013年度石油資源開発は黒字回復
石油開発企業の国際石油開発帝石、石油資源開発と、元売の石油開発事業の3月期決算(2012年度)が発表されたが、前年の好決算に比べ減益となったものの、まずまずの利益を確保した。原油価格が4月から6月にかげて下落したが、その後は高騰して値を戻し、さらに為替が円安に転じたため好決算となった。
石油開発事業は、原油価格と為替の動向が直接影響するため原油高、円安は、そのまま利益を押し上げる要因となる。原油価格(ブレント)の推移を見ると、期初は125㌦/バーレルであったが6月末には89㌦に下落、その後は値上がりに転じ、8月には117㌦まで値を戻し、その後、年末までは110㌦前後推移、今年2月初めには119㌦に上昇し、3月平均では108㌦に下落した、その結果、2013年度の年間平均は110㌦で、前年の114㌦比べると4㌦の値下がりとなった。
為替は期初は83円/㌦であったが、9月には77円の円高となり、12月の総選挙での安部政権の発足以降、一気に円安が進行、3月には96円となり、年間平均では83円となり前年の79円に比べると4円の円安となった。
各社の3月決算をみると、国際石油開発帝石は、売上高が1兆2165億円(前年比2・5%増)、純利益が1829億円で110億円の減益(5・7%減)となった。
石油資源開発は、売上高が2310億円でほぼ横ばい、経常利益は281億円で59億円の増益となった。だが、勇払ガス田の生産操業に係わる事業用資産の減損の計上で純損失が9億円となった。
JXホールディングスの石油・天然ガス事業は、売上高が生産量の減退により1731億円(7・8%減)、経常利益は936億円(7・8%減)となった。
出光興産の石油開発事業は、売上高がノルウェーでの生産減により804億円(16%減)、営業利益は256億円(8・3%減)となった。
2013年度の見通しでは、国際石油開発帝石は、原油価格(ブレント)を100㌦/バーレル(前年度は102㌦)、為替が95円/㌦(83円)を前提に売上高は1兆2090億円で横ばい、純利益は1370億円で459億円の減益を見込んでいる。原油販売は微減、天然ガスは横ばいとなる。開発投資は1兆0030億円で4264億円増(イクシスの下流事業を含む)、その他設備投資が910億円で144億円増、探鉱投資は910億円で371億円増、探鉱費・探鉱関連引当金が509億円で32億円増となる。
石油資源開発は、原油CIF価格を100㌦/バーレル(前年は115㌦)、為替が90円/㌦(82円)、ビチューメンを45・87カナダ㌦/バーレル(50・71㌦)を見込んでいる。営業利益は207億円で68億円の増益となる。勇払ガス田の減産での減損損失を計上したことによる減価償却の減少、海外探鉱費の減少を見込んでいる。その結果、経常利益は288億円で7億円の増益となり、特別損失がなくなり、純利益は215億円となる。前年が9億円の損失であったため224億円の改善となる。設備投資は1620億円を見込んでおり、カナダのシェールガス、オイルサンド、イラン・ガラフ油田の開発に取り組む。なお、このガラフ油田については6月末から生産を開始する。