2013.05.20 のニュース
さあ、仕切り直しだ
10週連続でガソリン小売価格が値下がりした。
今回の値下がりのスタートは3月第1週からで、累計では4・1円の値下がりが生じている。我々石油販売業界と精製元売のコストの大元である原油は、10週前が㍑63・8円で、その間に底値60円、高値65円というレンジで推移し、近況は過去10週間の高値に並ぶ65円前後にある。我々石油販売業界と精製元売の抱えるロスは、小売累計下げの4・1円に原油の1・2円高を加算した5・3円発生している計算になる。
そのおおよそ8割方は精製元売の収益悪化という部分に背負わされているが、約2割は石油販売業化に被さっている。特に都道府県平均が大きく下がった北海道や秋田などの北日本や北関東などでは、大きくSS粗利が損なってしまっている。なぜこんな惨状を招いてしまったのだろうか。
元売が悪い、業転が悪い、PB量販SSが悪い、元売子会社SSが悪い、プリカの安値が悪い。エネルギー政策が悪い、円安が悪い、不当廉売・差別対価を許す行政が悪い。そして、なんと言い訳をしようが、我々石油販売業界も悪い。
酒類販売や米穀販売など地域に根差した専業種の多くが、大きく経営基盤を損ねた原因の筆頭は、異業種の大規模参入であるケースが多い。英国メジャーBPの日本上陸、ダイエーの本格参入など、SS業界にもその足跡が残り、この10年間で一気に関東最大のプライスリーダーとなった大型ホームセンターの実例がある。
ただし北海道を沈め、秋田を侵食し、福島や四国、近畿にまでに兵站線を伸ばした彼。ぽつん、ぽつんと一体感のない展開ながら、月1SSペースで全国津々浦々にSSを増やす彼。彼らは、我々の内側にあった仕組みをうまく利用・活用しながら、実は我々国内石油産業が育み続けてしまった怪物なのだろう。
10年一日のごとくに卸政策に難があると決めつけ、結果として元売も系列SSも沈みそうな現況にしても、元売が儲ければSSが困窮するという構図のゼロサムゲームに陥ったのも、我々石油村の内紛の結果だ。
精製元売もSSも系列外のPBも浮上する。過疎地のSSも生存可能になる。そんな仕組みづくりを、行政も政治も手助けしようとしている。文字通りの仕切り直しを、さあ始めよう。