2013.05.21 のニュース
系列店ゆえの利点を問いたい
自動車メーカーの業績好調が伝えられる。3月期決算の連結売上高と営業利益はトヨタ22兆円と1・3兆円、ホンダ9・8兆円と5400億円、日産が9・6兆円と5200億円。対して、石油元売はJX11兆円と2500億円、出光が4・4兆円と1100億円、コスモが3・2兆円と520億円。業種は違うが、いずれも大企業の姿である。
豊田自工会会長は好決算について「アベノミクス効果も追い風となったが、リーマンショック以降における各社の必死の原価低減努力の成果」と評した。グローバル産業ゆえのリスクや政策影響などにも左右されるが、商品の良し悪しで業績が伸びる可能性があるのは大きな強みだ。一方、我が業界の主食たる石油製品には残念ながら明確な差別性を見出せない。このような中で、カーディーラーがアフターサービスへの重点を高めているように、SSでも油外収益の強化が問われているが、そもそも発想の起点において「本業で利益を取るな」と疑われるような販売施策が幅を利かせていることへの批判が多数ある。
自工会発行の13年版「日本の自動車工業」によると、自動車関連産業の就業人口は製造部門79万人、運送業などの利用部門281万人、SSなどの関連部門41万人、資材部門39万人、販売・整備部門109万人の合計約550万人にのぼり、国内全就業人口の9%を占める。保有台数は4輪車7613万台、2輪車1200万台弱。今年度当初予算の自動車関係税収額は租税総収入の約1割に当たる7・7兆円にも達し、走行段階の燃料課税分が4・4兆円と車体課税分の3・3兆円を上回る。徴税代行者のSS業は不可欠な存在であり、重要な社会的役割を担い続けてきた。
自動車・石油ともに、他業界に比して利用者との対話機会に恵まれているという特長がある。ユーザーが店頭に訪れたり、営業や配達で戸別訪問する場合も少なくない。一方、業界構造が大きく異なるのは、自販連会員数1311社、1・5万店で1社平均12店弱を運営しているのに対し、ガソリン販売業者数は1・9万社、3・8万店。1社平均2SS運営の小規模業者がはるかに多いことである。元売は、これをよく理解しているはずだ。SS数が減ったとはいえ、いまだ大多数は系列に属している。系列SSをどう処遇するつもりなのか、改めて問いたい。