2013.05.21 のニュース
原油100ドル、為替100円を予測-業績に追い風、25年の決算見通し-
原油価格(ドバイ)は100ドル/バーレル、為替は100円/リットルという相場となっている。100ドル、100円と切りの良い数字となっており、円/キロリットルベースでは約6万3000円(63円/リットル)と計算し易くなっている。東京商品取引所の原油価格は6万4000円/キロリットル前後で推移している。
原油の100ドルは、産油国も財政面からみて容認できる水準であり、急落すれば減産で対応して100ドル維持を図るため妥当な水準となる。
為替の100円/ドルは4年ぶりとなっているが、これまでの円高不況からの脱却が課題となっていただけに、自動車など輸出産業は歓迎している。景気回復の兆しもみえ、1月~3月のGDPは、実質成長率が前期比で3.5%のプラスとなった。
原油、為替の変動は、石油各社の決算に大きく影響する。原油が高騰すれば、在庫評価益が発生し増益となり、逆に原油が下落すれば在庫評価損が発生して赤字となる。この流れは、企業努力では補うことはできず成り行き次第となるのが石油産業の特長である。原油の高騰、円安は、石油開発事業には、即増益に結びつくため好材料となる。そのため各社は決算発表時に、予測値の原油価格に対して1ドル上昇(下落)、為替が1円上昇(下落)の変動に伴う利益の与える影響(感応度)を提示している。
ちなみに、平成25年度の決算予測では、コスモが原油価格を100ドル/バーレル、為替を100円/リットルを前提にしている。JX日鉱日石エネルギー、出光興産は原油価格を105ドル、為替を95円としている。予測は決算発表の時点の相場を採用しているが、双方とも円/キロリットルベースでみればコストは変わらない。決算見通しを作成するための前提条件として原油価格、為替の予測が必要であるが、思惑通りに推移することはない。
石油各社の決算は、見方によっては原油、為替次第となる。24年度をみても期初の原油価格は120ドル/バーレル台であったものが、6月には90ドルを割り込む急落、その後は、急騰して8月以降は110ドル前後で推移、今年3月の平均は106ドルとなった。為替は当初は80円/ドルの円高水準で推移したが、安部政権の発足で一転して円安傾向となり、今年3月には96円、4月は99円、足元は102円へと円安が進行している。
24年4月~6月は原油価格の急落で為替評価損が発生するなど赤字決算となり、業績悪化が懸念された。だが、その後に原油価格が反発、為替が円安になったため、それが追い風となり一転して黒字決算となった。前年と比べると減益となったが、まずまずの利益を確保した。原油価格の高騰で在庫評価益が発生したことに加え、石油化学事業も海外市況の値上がり、石油開発事業も利益を確保した。
とくに下期では原油価格の急騰、円安となり、コストアップの転嫁が最大の課題となったが、在庫評価益でそれまでの赤字を相殺して、短期間に黒字に転換、増益となり上方修正となった。このことは、原油価格、為替の変動によって業績が大きく変わることを実証したことになる。企業努力で左右できない部分であるため、決算は在庫評価益を除いた事業利益で評価すべきである。だが、実際には在庫評価益を加算した見た目の数字が重視されている。