2013.05.27 のニュース
LNG供給確保に取り組むが-石油火力の役割、再評価を-
総合資源エネルギー調査会・総合部会(第3回)は20日に開催され、エネルギーの流通問題について審議された。事務局からは、シェールガス革命、日本企業のLNG事業の取組みなどが説明された。
審議の中で、安藤資源燃料部長が「米エネルギー省が18日に、日本企業が参画するフリーポートLNGプロジェクトからのLNG輸出を承認した」と報告。これは、総合部会開催の前日にアメリカ政府が輸出承認を発表したもので、安倍総理が訪米に際して要請していた案件であり、タイミングの良い朗報となった。
東日本大震災以降、LNGの輸入が年間8700万トンと急増しており、価格高騰のため貿易収支が赤字となっており、安価な調達が求められていた。この計画の生産開始は2017年以降となっているが、生産規模は880万トン/年、供給先は中部電力、大阪ガスが各220万トンとなっており、米国からの初輸出によってLNGの高値が是正される効果が期待されている。
米国で日本企業が取り組んでいるその他のLNGプロジェクトは「コ-ブポイントLNGプロジェクト」があり、住友商事が230万トン/年を調達済みで、東京ガス、関西電力に供給する。さらに「キャメロンLNGプロジェクト」は、三菱商事、三井物産が各400万トン/年で合計で800万トン/年の調達を契約しており、東京電力へ供給することになっており、現在、米国政府の輸出承認を待っている。
一方、石油企業も石油資源開発がカナダにおいて、ペトロナスと共同でシェールガスの開発、LNG事業に10%の権益で参画した。2018年には生産を開始、生産量は権益分10%で120万トン/年となる。また、出光興産もカナダでLNG、LPGのアジア向けの輸出・販売事業に取り組む。LNGは2017年、LPGは2016年の輸出・販売を目指す。このように、シェールガス(LNG)事業の取組みは活発化している。
シェールガス革命によって、2020年にはアメリカが天然ガス輸出国となる。増産された天然ガスが欧州に流れることで、これまで欧州に供給していたロシアのガスに行き場がなくなり、ロシア政府が日本に売り込みを行なうなど、世界の石油・天然ガスの流れが変わりつつある。
日本では、福島原発事故の影響でほとんどの原発が停止しているため、LNG、石油火力にシフトすることとなった。その結果、LNG、原油価格が上昇したため、燃料調達コストの削減が課題となっており、安価なLNGの供給確保が最大のテーマとなっている。
同様に、石油火力も休止していたものを再稼働したため、C重油、生だき用原油の供給が急増した。だが、他の燃料に比べてコスト高であり、さらにIEAから「石油火力を新・増設しない」と、の勧告を受けているため、これ以上の供給増加は難しい状況にある。リプレースを要望しているが、電力サイドの動きはなく「困った時の石油頼み」となっている。石油火力が電力需要をカバーする重要な役割を担っていることを再認識すべきである。
石油各社では、平時から安定した需要が確保できないと、災害時(緊急時)の供給は難しいと要請しているが、受け入れられていない。