2013.05.27 のニュース
地域中小SSの展望を描こう
石油販売業者たるもの、ガソリンをはじめとする燃料油で商売が成り立ち、エネルギーの多様化も見据えながら、再投資が可能な健全経営を貫き通したい。次世代に夢を与え、期待を寄せる若者たちを「ようこそ」と迎え入れられる業界でありたい。そのためには、前向きでやる気に溢れた元気な中小組合員が数多く地域社会に存在し続け、働く場を守り抜いていく必要がある。そして我々は石油販売業者であると同時に、サービスステーション∥SSであることを自任している。
だが、規則的な仕事が続き、日常業務に追われていると、新たな社会ニーズを見逃していたり、気付かなかったりすることもある。そこで、本紙では2010年2月から『月感・SS力再考』と題し、SSの拠点機能や利用特性などを踏まえた“潜在力”に注目する外部有識者が見た考察を重ねている。先月までに掲載34回を数えたが、建築・都市デザインの視点から見ると、SSは点在力、空間力、立地力、現場力に優れ、それらを適宜組み合わせることによって、SSが真の地域インフラになり得ると高く評価され、積極的な取り組みが促されている。
まずは本業ありき。これは当然だが、経営実態調査によれば、専業者の売上高営業利益率は0・2%、兼業者は1%。特に専業者はここ数年間で見ても低空飛行、ときに潜水状態も出現している。燃料油の構造的需要減、異業種を含め強力な競争相手が次々と現れる油外商品・サービス競争の熾烈化、法規制などに基づく設備更新の必要性…。展望を描きにくい商環境にあることは確かだが、成熟産業に身を置く者として、時代変化を受け入れ、柔軟に対応していかなければ、明日が来なくなる可能性も否定できない。
しかし、そんなに悲観することもない。SSの特長を生かしたプラスアルファの取り組みは、実は身の回りでもいろいろと行われている。地域祭りやイベントにおけるフィールド開放、部外者によるPR拠点としての店頭活用。また、先月の『月感・SS力再考』にも言及があるが、循環型社会への対応モデル「SSのリサイクル拠点化」は、10年前にSS高度化事業の一環として検討を行っており、再注目され始めた。
「地域社会・消費者とともに」。地場中小SSの生きる道は、昔もいまも変わらない。