日刊ニュース

2013.05.28 のニュース

大幅減販で減産も効果なし-コスト高も市況下落で業績悪化-

 現在、各社は減産で対応しているが、販売は予想を下回って推移しており、需給バランスが崩れ市況は下落している。不需要期であるが、定期修理の時期であるため、例年はこの時期の需給は締まるが、今年は予想以上の減販となっているため減産で対応しても供給増となっている。
 その結果、円安でコスト増となっているが業転市況は低迷しており、末端市況も下落が続いている。元売、販売業者ともマージン減で5月の月次業績は悪化している。
 各社は前年に比べて減産しているが、その効果はなく、販売業者からは「本当に減産で対応しているのか」との声も出ている。石油製品の生産計画は、一度設定してスタートすると、短期間での大幅な変更はできないことが難しいところである。原油の調達、タンカーの用船・輸送、入港、荷揚げ、生産(原油処理)、貯蔵、出荷(ローリー、内航タンカー)などの一連の流れに沿って実施されており、この流れを緩めることはコスト増となるため、スピードが要求される。速く運び、速く処理し、速く出荷(販売)することが、最大のテーマであり、効率化が追求される。
 各社の供給サイドによる減産対応では、これらの流れを遅らせることになる。急遽、大幅な減産で対応することになると、原油の調達を減らし、タンカーの運航を遅らせ、入港しても荷揚げを遅らせることになるため、当然コスト増となる。
 このところのように販売減が続いても、直ちに大幅減産によって需給調整することは難しい状況にある。減産で対応するよりも、供給増を早急に解消するためには、販売に力を入れることとなり、業転市場への玉の放出となる。その結果、業転市況が下落することになるが、業転市況が下落すれは、業転玉を購入しているHCなどは値下げ攻勢に出るため、末端市況は下落が続くという悪循環の繰り返しとなる。
 現在、為替が102円/ドルと円安でコスト増となっているが、仕切価格は値上げが難しくなっており、元売もマージンが減少している。
 4月の原油CIF価格が約67円/リットル、石油税が約2円であるため69円となるが、ガソリン、灯油の業転市況は72円~73円となっているため、その差は3円~4円となりコスト割れとなっている。本来であれば、精製費、販売経費(ブランド料など)で10円は確保したいところであるが、これでは赤字となる。ちなみに東京商品取引所の先物は、原油価格が64円であるが、ガソリンが72円、灯油が73円で、原油との差は8円~9円となっている。
 現在の原油価格(ドバイ)は100ドル/バーレル程度、為替が102円/ドルで推移しており、4月の原油価格102ドル、為替99円/ドル程度と比較すると、原油価格は小幅な値下がりとなっているが、円安分で相殺されてコスト高となっている。そのため、本来であれば仕切価格を値上げする局面であるが、供給増で業転市況は低迷しているため、値上げも小幅上げにとどまることとなる。このため、業転市況と系列仕切価格との間に価格差
が拡大するなど販売業者からの反発も強まっている。
 末端市況も下落が続いているが、仕切価格はこれまで据え置きが続いたため、販売業者のマージンも減少しており、経営難となってきた。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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