日刊ニュース

2013.05.29 のニュース

灯油、高値で節約が浸透-再び灯油離れを懸念-

 灯油の仕切価格は、25日から値上げとなったが、ここ3週間で約3円の上げ幅となった。5月に入ってからも北海道などでは冷え込み、下げ過ぎを是正するため灯油は値上げとなってきた。一方、値上げによる高値で減販となる懸念もでてきた。
 ガソリンも25日から値上げとなったが、それ以前は据え置きが続いており、その結果、灯油は連続して値上がりとなった。先物、業転市況は73円/リットルとなっているが、ガソリンは72円となり「灯油高のガソリン安という、この時期としては逆転した価格体系となっている。ここにきて同値となっているが、灯油高よりもガソリン安が目立っている。
 灯油商戦は、シーズンのスタート時から冷え込み、昨年11月の販売は前年比で23%の大幅増、12月は4%増、今年1月も1.7%増と堅調であった。しかし、今年2月~3月は気温が上昇したことで、2月の販売が13%減、3月は22%減と一転して大幅減となった。前年2月が閏年であったため、1日多いことを相殺しても、落ち込みが大きい。しかし、4月~5月になると冷え込み、再び灯油ストーブを使用するなど温度変化が激しい気候となった。
 そのため灯油の仕切価格は値上げとなっているが、ガソリンが供給増のため連続の値下げとなっていたことに比べると、対照的な値動きをみせている。一方、末端市況は、さすがにシーズンが終わったこともあり、小幅な値下がりとなっている。
 灯油販売の落ち込みは、ユーザーの消費節約の浸透が要因としてあげられる。灯油の仕切価格がシーズン入り前から値上がりしたことで、販売価格は100円/リットルを超えることとなった。配達は110円超相場(18リットルで1980円)となり、1缶が2000円を超えるケースも出ていた。2000円ともなれば、ユーザーも高値感を持つことになり、販売を控えることになる。
 灯油の小売販売は、その都度、現金取引きであり、ユーザーに高値感が伝わるため、節約が浸透した。さらに、電気、ガスヘの転換が促進されている。電気、ガス料金も値上がりとなったが、銀行口座からの自動引き落としであるため、ユーザーはあまり気にしない。しかし、灯油は、その都度、現金で決済となっているため高値という印象を持つことになる。
 ガソリンは150円/リットル、灯油は100円を超えるとユーザーが高値感を持つ目安とみられ、買い控えが懸念される状況となる。ガソリンは1月~3月で4%程度の減少と予想を上回る減販となってる。高値から1回の給油で満タンにするケースが減り、数量を指定するユーザーが増加している。灯油も同様に減販傾向であり、消費節約をしている上に、短時間の暖房は電気、ガスを利用するケースが増えてきたようである。
 東日本大震災以降、供給不安からオール電化、都市ガス攻勢が後退したため灯油が見直しとなり、増販が期待されたが、今年2月~3月の販売動向をみると、再度、灯油離れが進行しているようである。
 灯油販売は、電気、ガスの利便性と比べると不利な立場にある。灯油は重くて高齢者が運ぶことが難しく、過疎地では供給が滞りシェアを落としてきたが、現在は、高値感による買い控えを誘発する状況にある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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