2013.05.30 のニュース
総合エネ調の審議を待って-来年度政策、予算要求に取組みヘ-
エネルギー基本計画の策定のための議論は、総合資源エネルギー調査会総合部会で行なわれているが「生産・調達」、「流通」段階を終えて、次回は6月に「消費」を審議する。「消費」については、①省エネルギー・節電、②スマートコミュニティ、③コジェネの利用よる分散型エネルギー、④燃料電池・水素エネルギーなどの推進となる。さらに需要者のエネルギー供給・管理の参画などが審議となる。
この「消費」が審議されると、原発問題を除き、エネルギーを巡る問題点の審議を終えることになる。その後は参議院選挙となり、選挙結果をみて次のステップに進むことになる。現時点では自民党が有利とみられており、自民党が勝利すれば、エネルギー政策も一段と自民党寄りの政策が打ち出され、来年度の予算要求に繋がっていく。
安倍政権は円高、デフレからの脱却に向け政策を推進しており、期待感から円安、株高へと景気の回復が見込まれる状況となっている。しかし、ここにきて株価が乱高下するなど調整局面となっているため、今後の動向が注目されている。
今後の経済状況が参議院選挙の結果に大きく影響することになるが、自民党が勝利すれば、引き続き現在のエネルギー政策を踏襲することになる。エネルギー基本計画は、一応のとりまとめを年末までには行なうことになっているが、長期のエネルギー需要見通しの数字については、原発の再稼働をどこまで認めるかによって、他のエネルギーの供給量が大きく変動する。そのため原子力規制委員会の策定する新基準と政府の決断がポイントとなる。政府は再稼働を認めているため、その方針決定と世論との攻め際がヤマ場となる。
これまでの議論を踏まえて、8月には来年度の予算要求、来年度の新政策の目玉策を打ち出すことになるため、これから経済産業省の取組みが本格化する。
すでに今年度の予算措置も講じられているが、東日本大震災後の電力不足と安定供給の確保、LNG、石油の高騰によるエネルギーコストの上昇への対応、資源確保戦略の推移など政策面での取組み、流通段階では、電力システム改革(発送電の分離)の推進、石油・LPGのサプライチェーンの構築などが論点となっており、来年度の新政策には、より具体策が求められる。
資源確保策については、シェールガス革命による増産が見込まれることから、LNGの安定かつ安価な確保が要請されている。安倍総理の米国、中東訪問など資源外交の成果もあり、米国からのシェールガスの輸出が認められるなどの朗報が伝えられている。また、アフリカの鉱物資源大臣を招き、16日には初の「日アフリカ資源大臣会議」を開催、資源投資の促進、インフラ整備など支援策を提示、賛同を得るなど資源外交を展開している。
福島原発事故を機にLNG火力へのシフトが増加しており、LNGの輸入増大で貿易収支が赤字となるなど経済への影響が深刻化している。この問題を解決するためには、国をあげての資源外交が決め手となる。そのため天然ガス・石油の開発、国内の石油のサプライチェーンの強化に対して、来年度の予算要求では拡充が見込まれる。